1・22 眠れない (2007/01/23)
最近、夜呼吸ができなくなり、起きることがしばしばある。そんなときは、たいてい溺れている夢や、何かが喉につまって、息ができなくて苦しい夢を見ている。知人と話していると、ちょうど僕と同じ症状だそうで、彼が医者に聞いたところ、治らないらしい。防ぐには呼吸マスクをして寝るしかないとのことであった。 もう、かれこれ7年前になるが、世界最大規模のロデオの写真を撮りに行った。パンタナールに行ったすぐ後で、休むまもなかったので身体も疲れていたのだろう。普段働く勘が鈍ったのだと思う。少しでもいい写真が撮りたかったので、カウボーイを乗せた馬が跳ねながら近くに寄ってくるのをギリギリまで逃げずにじっと待っていた。あまりにも待ちすぎたために、跳ね上げた馬の後ろ足が、顔面にヒットした。瞬間、カメラは避けたが、自分自身は避けきれず、気絶してしまった。蹴られた瞬間、倒れる自分も含めてすべての事象がスローモーションのように感じられた。「やられた」と思うと同時にキーンという金属音が脳の中に走り、それが、ビーンという音に変わったと思うや後頭部を地面に叩きつけられた。ふっと気がつくと、空中で自分を見ている自分がいた。今でもその不思議な感覚を覚えている。周囲のカメラマンが駆け寄ってきているのが見えた。そして再び意識が無くなり目を覚ますと、僕を囲むようにして心配そうに見ている顔が一杯あった。 まずカメラが心配だった。そして鼻が砕けていないか。すぐ横にいたカメラマンが転がっていたカメラを渡してくれ、鼻は大丈夫だと言ってくれた。痛みは麻痺していて解らなかったのだろう。自分では、そのまま撮影を続けようと思っていた。血がしたたり落ちたのを見て、初めて自分が深い傷を負ったことを知った。結局、仮設の救急病院に運ばれたが、傷が深くて縫うことができなかったため、市の病院に連れて行かれた。 前歯が1本と鼻の骨が折れていた。唇から鼻にかけて8針縫った。麻酔をするために鼻穴に刺された注射の痛さが未だに忘れられない。縫い終わって、医者が「100%きれいにはできなかったけど、まあ、こんなもんかな」と鼻歌のように言った。「なんだこいつは」と思ったが言い返す元気もなかった。 このときの事故の様子は、日本にいる知人によると、「世界の事故?」という番組で流されたらしい。僕には一切許可を取っていない。ひどいものである。 そんなわけで、僕の鼻はつぶれてしまい、まるでボクサーの鼻のようになっている。さらに鼻の穴も奥の方は極端にせまくなっているのだろう。夜、寝ていて呼吸が困難になるのはこのせいもあると思う。いつか手術をして穴を広げたいと思っている。潰れた鼻がきれいになれば、もう少し女性にモテるようになるかもしれない。
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