4・11 遠回り (2007/04/12)
サンパウロのバス事情はそこそこわかっているつもりだったので、目的地の名前をフロントガラスに書いたバスに飛び乗った。念のために、行きたい場所を通るのかどうかを運転手に尋ねると「ディポイス(後で)」という言葉をがなりたてるように返してきた。この「後で」という意味がよくわからなかったが、まあとりあえずは通るのだろう、と気にもせずに乗ったのが間違いのもとであった。 当然曲がらなければいけないところで曲がらないので、おかしいなと思い今度はコブラドール(車掌、乗車係)に聞くと「プロシモ(次で)」という言葉が返ってきた。 ちなみにブラジルではたいていの市内バスは日本のようなワンマンカーではなくて、運転手とお金を徴収する車掌がいる。バスの中には改札機のようなモノがあり、お金を払うと車掌がボタンをおして中に入れるようにするシステムになっている。もし、車掌がいなければ、道徳心の薄いブラジル人は改札機を乗り越えてお金を払わずに乗ってしまうから、いまだに車掌がいるものと思われる。最近小さめのバスでワンマンカーも増えてきたが、運転手が一人で、お金の徴収もしてお釣りの受け渡しもしているので、運転から気をそらしていることが多く危なっかしくてしょうがない。日本のように両替機があればいいのだが、そんなものはないし、車の運転は日本とは比べ物にならないほど乱暴だから、もよく事故にならないものだと乗るたびに関心する。 ディポイス? プロシモ? やっと意味がわかった。つまり、このバスの目的地についた後、帰り道に、僕の行きたい場所を通るということなのだ。 普通だと30分ほどでつく場所に1時間半もかかってしまった。 そして、その帰り。家の近くのバスターミナル行きのバスに乗ると、このバスも大回りをする路線バスで、結局1時間半かかり、1時間の用事をすますのに3時間もかかってしまった。やはり、「わかっているつもり」というのはダメなのである。 まったくもって疲れる1日であった。
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