8・8 エドアルドがいない!Ⅰ (2008/08/08)
「うちに電話したけど、エドアルドがいないの! 学校の送迎バスの中で何かあったらしいのよ。どうしよう。家を見てきて」 彼女のヒステリック声が受話器に響く。 彼女の電話を受けても何故か嫌な予感が全くしなかった。今までの体験から、こういう気持ちのときは、別段何も問題ない。多分、彼は家で寝ているのだろう。 しかし、家に行ってドアを開けるが、部屋の中はひんやりとしたままで、犬たちがおっとりと僕を出迎えてくれただけであった。いない、どこへ行ってしまったのだろう。それでも、まだ、さほど心配していなかった。彼は、学校までの道はよくしっているから、例え途中どこかに降ろされても、独りで帰ってくることはできるはずだ。 「いないよ、運転手にもう一度電話してみろ」と彼女に電話すると、彼女が気落ちするのが解った。「探してみてよ!!」と懇願するようにいうが、闇雲に探してもしょうがない。まだ、大丈夫だという僕の確信はあった。 数分後に再び彼女からの電話、「アパートの前で降ろしたらしいの」 少なくとも建物の中にいることは解ったので、門番に効いて見ようとエレベーターで1階に降りた。エレベーターのドアが開くと、前に置いてある椅子にションボリとエドアルドが座っていた。 「どうしてアパートに入らなかったんだ?」 「鍵をなくして・・・」 彼はしょっちゅう鍵をなくしていて今まで何個失くしたかわからない。「バスで何か問題があったのか」 「うん」 妙にしょげているので母親が帰ってきてから聞くことにした。何も言わずに母親の番号を押して携帯を渡した。 「僕だけど・・・・・、うん、わかった・・・」彼女もやっと安心した感じがこちらにも伝わってきた。 アパートに着いて、そのまま彼を独り残していくのも、少し気がかりだったのでコーヒーを作ることにした。彼が作り方をじっと見ている。今までコーヒーなんて関心ももたなかったのに。できあがって一口、口をつけて、ふと何気なしに訊いてみた。「飲むか?」「うん」今までコーヒーの苦さを嫌って飲もうもしなかったのに。彼も成長したのだな、しんみりそう思った。 コップに分けてやると、牛乳を入れて彼も飲み始めた。 彼も落ち着いたようだったので訊いてみた。「バスで何があったんだ?」 「バスの中で友達と話していたら、マルコスさん(運転手)が怒って、罵ってきたから、僕も言い返したんだ。そしたら余計に怒っちゃって、もう明日から送迎しないって・・・・・」どうも話の筋がめちゃくちゃでよく解らない。やはり母親が帰ってきてから訊いた方がよさそうである。
※途中で、書く気力が急速に無くなってしまったので続きは明日にします。忍耐が続かない人間になってしまった・・・・。
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