8・29 即行動 (2013/08/28)
犬を連れて早朝の散歩をしていると、20mほど先で、車いすの男性が、歩道の斜面を上がるのに苦労しているのが目に入った。助けてあげなくては! と思ったものの、ハテ犬をどうしよう?、という考えが浮かんだ。その一瞬の躊躇の間に、男性はなんとか斜面を上がってしまった。もし、見てすぐ駆けよれば、手伝うことは可能だったろう。そう思うとわずかではあるが、軽い後悔が頭を過った。 ブラジル人のとっさの行動の速さにはいつも、舌を巻く。メトロではお年寄りがいると考える前に席を譲るし、事故や人が困っているのを見ると、助けようとすぐに行動に移す人が多い。 大分前になるが、パラナ州のパラナグアにある岩から流れ落ちる巨大な滝に行った。軽く4,50mの段になった滝で、大きな岩の上を川が流れていた。岩の上にはコケが生え、つるつる滑る状態になっていた。僕も足を滑らせ、危うく転びそうなったが、なんとか体勢を保ち、難を免れた。こんなところで転んだら、滝から落ちて大けがをするだろうな、と思い、ぞっとしたものである。すぐ傍で酒を飲んで騒いでいた女性が案の定、足をすべらせ、助けて~、といいながら落ちて行った。僕は一瞬何をしたらいいかわからず、ぼーっと見ていただけであったが、数人のブラジル人は彼女を助けようと、すぐ追いかけていった。幸いなことに彼女は途中、岩にひっかかり助かったようであった。このときのブラジル人の動きの速さには感動してしまった。 おそらく、多くの日本人は僕と同様とっさの行動ができる人は少ないのではないだろうか。日本人は、一度考えて行動する習慣がみにつき、何かをするときに一瞬躊躇してしまう。それに比べ、ブラジル人は考えて行動するのでなく、身体が即動くのではないかと思う。 さらに、ブラジルでは、困った人や、弱い人を助けなければならない、という意識を持っている人が多い。一方、日本人は自分には関係ないのだから関わらない方が良い、というような冷めた意識を持つ人が多いのではないかと思う。 僕自身もできれば、即行動に移せるような人間になりたいと思うのだが、考えて動くということに身が染まりすぎていてなかなか難しい。
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