「ウルチモ・ドラゴン」ブラジル訪問 (2024/10/10)
| 「ウルチモ・ドラゴン」のマスクをかぶり ファイティング・ポーズを取る浅井さん |
| 覆面プロレスラーとしてメキシコを拠点に世界で活動する「ウルチモ・ドラゴン(ラスト・ドラゴン)」こと浅井嘉浩さん(46、愛知)が、今年(2013年)1月から約1カ月間かけて南米4カ国を訪問。2月19日、アントニオ猪木氏と親交の深い尾西貞夫兵庫県人会長の案内でサンパウロ新聞社に来社した。浅井さんは初めてのブラジルながらも、自身の師匠であるアントニオ猪木氏が移民として青少年時代を過ごした地に愛着を示し、今後の中南米での興行展開にも意欲を見せている。(2013年2月19日取材)
少年時代から初代タイガーマスク(佐山聡氏)にあこがれていたという浅井さんは、愛知県名古屋市の高校卒業後に新日本プロレスの入門テストを受けたが、身長170センチと体が小さかったことで不合格となった。しかし、当時の指導役だった山本小鉄氏(故人)の計らいで練習生として道場に通い、1987年には20歳で単身メキシコに渡った。 プロデビューを果たしたメキシコでは、着いて2日目から試合を行い、年間400試合という過密なスケジュールをこなしてきたという。 今も現役のレスラーとして「空中殺法」を得意技としてリングに上り、メキシコをはじめ、日本、アメリカでの試合にも参戦し、人気を博している。また、メキシコではプロレスラーを養成する「闘龍門(とうりゅうもん)」ジムを設立しており、来年(14年)から装いを新たにして活動を始める考えだ。 昨年(12年)5月にメキシコでのプロデビューから25年を迎えた浅井さんは、「南米を回ってみたい」との思いで今年(13年)1月からペルー、ボリビア、アルゼンチン、ブラジルを約1カ月かけて訪問した。 ボリビアでは、標高4000メートルの高地である首都ラパスで地元のプロレスラーと試合形式で練習を行い、交流を深めた。また、ブラジルではリオ市のチャンピオン・カーニバルを見学し、自身のマスクをかたどった山車を発見して驚いたという。 今年(13年)2月20日の誕生日に師匠であるアントニオ猪木氏が70歳を迎えることを記念して、10月ごろをめどにキューバで初めてのプロレス興行を猪木氏と共に計画しているという浅井さん。「猪木さんの70歳の誕生日に自分がブラジルに居るということを不思議に感じます」と感慨深げに語る。 サンパウロ市の印象について浅井さんは、「自分が住んでいるメキシコと雰囲気がよく似ていて、愛着を感じます。メキシコにはコロニア(日系社会)的な集まりがなく、世界で一番大きなコロニアを持つサンパウロがうらやましいです」と話す。 20日にはメキシコに戻り、すぐに日本で試合があるため訪日するという浅井さんは、3月のエクアドルやヨーロッパでの試合も控えているなど多忙な日々を送っている。 今回、ブラジルではプロレスラーとの交流などはできなかったが、「次にブラジルに来る時は、こちらのレスラーたちとも会いたいですね」と笑顔を見せていた。
関連モザイク(コラム) ◎ 日本移民についても興味を持っている浅井さんにメキシコの「榎本武揚(えのもと・たけあき)移民」について聞いたところ、同じメキシコでもグァテマラ国境に近い南東部のチアパス州に入植し、現在はその子孫も混血化しているため、顔を見ただけでは日本移民の子弟か否か判断できない状態とか。しかし、現地人が履いている「ワラチェ」と呼ばれる草履の語源は、日本の「わらじ」から来ているそうな。日本文化はメキシコでも思わぬところで継がれているようで。
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