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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2005年の日記  (最終更新日 : 2006/01/01)
10月の日記・総集編 安手のドラマ

10月の日記・総集編 安手のドラマ (2005/10/31) 10/1記 NHK大放送前夜

サンパウロにて
いつまでも下品な問題に関わりたくないのだが…
日本ではNHKは大特番「ハルとナツ」放送前夜でお祭り騒ぎとのこと。
こちらにも、いろいろと…
先方から口止めされているので、ご紹介できずに残念。


10/2記 見た?

サンパウロにて
今どき、ブラジルでもカネを出せばNHKの国際放送を衛星送りで見ることができる。
僕にはそういう趣味も余裕もない。
しかし今回ばかりは問題のドラマをいちおう見ておかないと、クレームに迫力を欠くだろう。
友人宅におじゃまして見させてもらう。
僕あたりがドラマの作品内容についてコメントしても仕方がない。
しかし、自分で再確認したことがある。
僕は作り物のカンドーより、本物の感動を伝えることに今後ともこだわりたい。
そして作り物の「失敗者」にその場限りの涙を消費するのではなく、本当の弱者、失敗者とされる人たちの側で一緒に喜びや悲しみを共有して生きていきたい。
もちろん、怒りをも。


10/3記 NHKの回答

サンパウロにて
NHKから「ハルとナツ」の件で、9月27日付ファックスで回答が来ていた。
実はこの件で光文社の週刊誌「FLASH」の取材班が動いていた。
この記事をつぶそうという動きが岡村にも及んでいたので、記事がGOとなるまで発表を見合わせていた次第。
ちなみにこの「FLASH」、4日発売とのこと。
さて岡村宛回答で、NHK側は「ハルとナツ」の準備段階で東京MXテレビ放送の拙作「60年目の東京物語 ブラジル移民の里帰り」を参考にするため、MXから取り寄せて試写していることを認めた。
これはMX側にも記録があるので、否定できないところ。
しかし「肉親の再会を題材にした番組、ニュースは数多く制作され、報道されて」きており、岡村作品は「ハルとナツ」の「企画と重なり合う部分は無いものと判断しました」とのこと。
これで岡村の質問の答えになっているだろうか?
さらに10月1日の岡村のNHK関係者への電話で新たな事実が浮上。
それによると、以上の「判断」は番組のNHK用語で言う「制作統括」、エグゼグティブ・プロデューサーによるもの、とのこと。
さらにこの人物の他にも「ハルとナツ」準備段階のリサーチャーが複数の岡村作品を参考のため、入手していたことが新たに判明。
このことはNHKの公式記録に記載されているという。
つまり「ハルとナツ」の製作にあたって、リサーチャーからプロデューサーまで複数のスタッフが岡村作品を入手していたことが明らかになった。
「60年目の東京物語「と「ハルとナツ」のドラマの根幹部分の類似について、作家の星野智幸さんのホームページの10月2日ならびに3日の日記を参照にさせていただこう。
http://www.hoshinot.jp/diary.html
以上にアクセスをお願いします。
上記のようなNHKの「判断」と世間の良識がかみ合うものかどうかを問いたい。


10/4記① 主観の相違

サンパウロにて
本4日付ニッケイ新聞(サンパウロ発行の日本語日刊紙)に「8年振りに返す 橋本梧郎氏らの資料 NHK」の記事がある。
橋本先生が「安堵した様子で取材に答えた。」「これですべての資料が橋本氏の下に戻った。」といったハッピーエンド的な流れで書かれている。
私が「9/29記」の日記で紹介したNHK移民資料横流し疑惑問題で紹介した本件についてのNHKの回答を思い出されたい。
このなかでNHK側は「この件につきましては、7月21日付けのブラジル紙「ニッケイ新聞」でも報じられています通り、当時、橋本様を取材したNHKの担当者が、橋本様と連絡をとりながら、資料の返却作業を進めて参りました。」と公式に答えている。
NHKの公式回答を裏付けるものとして、ニッケイ新聞の記事があげられている。
それだけニッケイ新聞の記事は公的な権威となっているので、本日の記事について、私の調査との相違を記しておきたい。
図らずも9月30日、私が橋本先生のところにお邪魔している時にニッケイ新聞の記者から電話による取材があり、私が取り継いだのだ。
橋本先生は耳が遠く、脳溢血以来、口の回り具合がよろしくない。
そして気に入らない問題、下品な問題はごく短く適当に済ますか相手にされないことは、先生と寝起きを共にさせていただいてきた私にはよくわかっている。
この日、この件について橋本先生は特に、NHKスタッフが持ち出した資料が関係のない出版社から返却されてきたことなど「NHKはいったいどうなっているんだ」と私に語った。
そして持ち出された資料についてもNHKスタッフは借用書やリストといった証拠となるものを残しておらず「10年も前のことで、もうわからない」とおっしゃる。
それに今回、送り返してきた移民の資料も先日「古本屋で買ったもの」とまでは記したが、先生は実は自分のものではない「海賊版だ」とまでおっしゃったのだ。
こうした事実を踏まえて「これですべての資料が橋本先生の下に戻った」と幕を引いていいものだろうか。
NHK問題についてハッピーエンドの記事を書きたいらしい肩書きのある優秀な記者さんの数分の電話取材と、NHKに疑惑の念を抱き続けている無冠の岡村が橋本先生の一言をうかがうために往復に車で半日かけて通って聞き出した内容では、こうも違う。


10/4記② 安手のドラマ

サンパウロにて
昨日の読売オンラインで「ハルとナツ」の疑惑について報じられ、それがYAHOO!NEWSに流れた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051003-00000212-yom-ent
読売は本4日付朝刊に掲載されているとのこと。
オンライン報道以来、当サイトに空前絶後のアクセス数が。
それと共に不特定多数からのメールも。
大半が応援のメールだが、誹謗中傷も。
日本の中学生レベルの国語の読解力を持たずに、よくも知ろうともしない未知の他人にグロテスクな言葉を浴びせつけるとは。
いただいたメールの中に「ハルとナツ」疑惑と移民資料横流し疑惑を同じNHKということで結びつけるのは損では、というご意見をいただいた。
当方にとってはいずれも未解決の同時進行の問題であるが、それでも別々に記してきたつもりなのだが。
この二つのことを考えていて、意外な接点に我ながら驚いた。
これまで岡村に入っている情報を組み立ててみよう。
横流し疑惑の現NHK地方局職員Nは、かつてNHKのH(地方)局に所属した。
岡村の「60年目の東京物語」をMXから取り寄せて「参考」試写をして、「ハルとナツ」で「制作統括」として名前を掲げるA氏もH局勤務だった。
同じ時期で、A氏がNの上司だったと推察される。
その後、NがNHK関連会社から「にんげんドキュメント」のPD(NHK用語。いわゆるディレクター)としてブラジルに乗り込み、橋本先生の資料を持ち出したのが1997年。
そしてA氏がドラマの企画を開始したのは2000年だという。
自分がブラジル移民を題材にしたドラマを企画するなら、実際にブラジル移民を取材したかつての部下に相談するのは不自然ではないだろう。
同じ年、橋本先生の苦情により、在日本のジャーナリストがNHKに乗り込んでNに資料返還を迫った。
この時、ある程度の資料は「なぜか」NHKとは無関係の出版社から橋本先生に送り返された。
しかしなおも、なぜかNは戦前移民に関する資料を返還しようとはしなかった。
そして「ハルとナツ」放送直前にNから同名別本の戦前移民についての資料が送り返される…
こうした経費に「皆様の受信料」が使用されているのかも興味深いところだが、それはさておき、NとA氏の関係が気になるところ。
こんな推察は安手のドラマの見過ぎのせいか?
ヤスデの生態ドキュメンタリーの方が見たいよ。


10/5記① 会長の名の下に

サンパウロにて
岡村への「ハルとナツ」疑惑についてのNHKの回答について。
冒頭に「橋本元一会長から「事実関係を踏まえた丁寧な回答をするように」との指示があり、このドラマ番組の責任者である小職よりご返事申し上げます。」とある。
NHKの一連の不正と腐敗の改革のための会長の名の下になされたのが、あの質問の答えになっていない「回答」である。
どう答えになっていないかは、在ブラジルの私の尊敬する日本人ジャーナリストが分析してくれているので、ご紹介しよう。
http://www.brasilforum.com/
上記の「2005.10.04」の[忘備録]を参照されたい。


10/5記② 前史

サンパウロにて
何ごとにも前史というものが存在する。ときには封印された秘密議定書のように重苦しく、またときには北風に舞い散った枯葉のごとく頼りなげに。それがその後に生じる流れや?(うね)りのほとんどを規定するとは言うまい。しかし、当事者たちが意識しようとすまいと、新たに起こる事象の性質やら方向に多大な影響を与えてしまう。にもかかわらず、前史によって予告されるのはごくごくわずかだ。たいていは地下水脈となって暗がりで黙々と繋がり、あるとき突如として噴出するのである。
(船戸与一著「緋色の時代」小学館文庫)

次回はそんな前史でも紹介しましょうか。


10/6記① 親のつとめ

サンパウロにて
ノンフィクション作家の神山典士さんからこんな言葉をいただいた。
「作品は実の子どもですから、こういうケースでは親が戦わないといけませんね。」
我が子(作品)を「参考試写」しておきながら唾棄するような輩には、不肖の親でもするべきことはさせていただく。
しかも我が子は自分ではものが言えないのだ。
利用しちまえば、取材しちまえば、放送しちまえばアッカンベーという日本のテレビ屋の体質がいやで、こちとら自ら移民となってドキュメンタリーを紡いでいるのだ。
まあ垣根涼介さんの「ワイルド・ソウル」(幻冬舎)でも読んでおくことですな。
予告しました「前史」、当方もいやな記憶を掘り起こさなければなりませんので、今しばらくの猶予を。


10/6記② NHKが来た!

サンパウロにて
ホントにまったくバタバタしている時に、次々と用事が入る。
予告した「前史」を書く余裕がない。
それでも、このサイトは岡村とその作品のファン・支援者の皆さんへのサービス活動。
この非常時にアクセスしてくださる方の期待を裏切ってばかりでは申し訳ない。
最近、アクセスされる方のなかには岡村の書き物を少し読んでみたいが、これだけ膨大だとどれから手をつけていいんだか、という向きも多いことだろう。
そんな方のために、「NHKアーカイブス」のパクリのつもりでもないが、「岡村淳アーカイブス」としてかつてのNHKネタでも披露しましょう。
http://www.hoshinot.jp/okamura/nhk.html
恥をさらすようだが、隠しても仕方がない。
管理人かつ大家さんの星野智幸さんに改めて感謝。


10/7記① 宛名違い

サンパウロにて
この度の非常時、いろいろなメールをいただいた。
大半が応援、お見舞いだが、なかには誹謗中傷、意味不明なものも。
コレクションのなかから、ユニークなものをとりあえずひとつご紹介。
移民の人たち、金もうけしようと行ったんだろ。子ども捨ててまで、金もうけに出かけたのは、炎天下の車に子どもを置き去りにして、パチンコに行くやつと変わらない。あさましい。むごいな。移民の話しはもう結構です。
興味深いご意見ですが、NHKさんに送っていただいた方が…


10/7記② これはこれは

サンパウロにて
NHKの当事者の方からのアクセスとは、これはこれは。
皆様のお涙と信頼と受信料を担ってのお仕事、察するに余りあるものがあることでしょう。
さて5日間の御協会ドラマを拝見した上で昨日付で御協会会長宛にお送りした再質問状、まだ拙サイトにはアップしてありません。
御協会にとってはショッキングな新事実もいくつか盛り込んだつもりで、さぞまがまがしい思いをされていることかもしれません。
ご回答をいつちょうだいできるか、あるいはちょうだいできるかどうかもわかりませんが、間もなく拙サイト上でも紹介させていただく所存です。


10/7記③ プライバシー暴露

サンパウロにて
「ハルとナツ」疑惑以来、誹謗中傷メールの他に、確実な迷惑メールも増えている。
例えばこんなのはどうだ。
私は正志43歳。妻は美保子28歳です。
私共の夫婦には問題があります。問題といいますのは、お恥ずかしながら私が男性として機能できないということなのです。
しかも先日、私の海外赴任が決まりました。
この機に、その間妻の相手をして頂きたいと思いまして、勝手ながら、貴方に連絡させて頂いたのです。
経緯を話せば長くなる上、ご迷惑でしたら誠に失礼なメールですので経緯についてはご返信をいただけたら・・という事で。
今は関係を持っていただけるかどうかお返事いただけますか?
イエスかノーで結構です。
イエスであれば、美保子の写真をお送りし、謝礼についてや、お逢いする日時を決めたいと思います。
それではお待ちしております。

まさかこの男、放送協会職員じゃねえだろうな。
ご関心のある方はご一報を!


10/8記① よくある質問

サンパウロにて
皆様の涙と信頼と受信料のNHKの「ハルとナツ」のサイトにこんなのが加わったそうだ。
http://www.nhk.or.jp/drama/harutonatsu/html_haru_faq.html
さあ、6日に送った岡村のNHK会長宛て再質問状をお楽しみに。
こちらも「よくある質問」にひとつ、答えようか。
NHKからの謝礼目当てか?根幹の部分が酷似?ブラジル移民とその家族の事は腐る程やってるだろ?
根幹は全て一緒だろが。質問状と言っているが単なるクレーマーとしか受け取れないよ?

送信者の氏名は、なし。
とりあえず冒頭のご質問にお答えしておこう。
確かに、移民の記録活動のために金が欲しい。
しかし不浄な金を使ってまで記録活動をするような器用さは持ち合わせていない。
お互いの魂をぶつけ合って記録させていただくなかで、不浄なものが入り込んでは、ろくなものができない。
NHKから今回の件で金をもらうくらいなら、日本に出稼ぎに行って資金を作る。
そもそも先方は一連の不正・腐敗の発覚で受信料支払いが激増、看板番組でさえ制作費15パーセントカットというではないか。
しかもNHK内にも僕の敬愛するスタッフが何人もいる。
そんなところからカネをふんだくろうなどという発想が僕にはない。
お答えになっていますかな?


10/8記② 巻ノ二

サンパウロ→グアルーリョス→サンパウロ
娘に日本から買ってきた「NARUTO」巻ノ二を紐解く。
(前略)ルールや掟を破る奴は クズ呼ばわりされる………けどな! 仲間を大切にしない奴は それ以上のクズだ
これは、はたけカカシ先生の言葉。
日本で観たNARUTOの映画のテーマも、仲間を守る、だった。
日本の小学生たちが、この映画に群がる。
ブラジルの若者間でのナルトブームはご報告の通り。
先月、マニラで出会ったフィリピン人の若者ともナルトで盛り上がった。
日本の友人はヨーロッパ旅行の帰りにカナリア諸島の若者からナルトの話を持ちかけられたという。
今、地球の各地でインターネットを通してこうしたメッセージが若者たちに伝わっている。
大切にする仲間、いますか?


10/9記① NHK会長への再質問状

サンパウロにて
NHKが公式に、私の担当したドキュメンタリー「60年目の東京物語」と、ドラマ「ハルとナツ」は「表現や内容面で」「重なる麺はまったくないと判断」と発表しているのはご紹介した通り。
また一連の組織と個人の不正と腐敗の改革のために就任したとされる新会長の指示の元にNHK内部が行なった調査結果では、番組責任者が「偶然」知った岡村作品を2003年2月に放送局(MXテレビ)に頼んで入手して試写したことのみが揚げられている。
さて岡村個人が徒手空拳で本業と家事の合間に行なった調査結果を踏まえての再質問状は以下の通り。
以上のポイントを押さえて読んでいただけると、より面白いかもしれない。

NHK会長
橋本元一様

拝啓
9月21日付Eメールにて御社ドラマ「ハルとナツ」の件で質問させていただいた在ブラジルの記録映像作家の岡村淳です。
会長の指示を受けたという同ドラマ制作統括の金澤宏次さんより27日付ファックスにてご回答をいただきました。
この件について日本のマスコミ各社が知るところとなりましたが、マスコミ関係者ならびに日本とブラジルの多くの方々から、御社のご回答は私の質問の答えになっていないと指摘をいただいております。
以下の理由から私の質問にも問題があったと考え、本日まで放送された同ドラマを鑑賞の上で、さらに下記の事実関係を踏まえながら、お答えが簡潔になるようなご質問を改めてさせていただきます。

私の21日付質問ですが、
1.御社の問合せ窓口である「NHKふれあいプラザ」が最大400字までの内容しか受け付けないことから、事実関係などを省略した質問となってしまいました。
2.私は、1997年に発生してこれまで未解決だった御社「にんげんドキュメント」スタッフによるブラジル移民資料持ち出し・横流し疑惑について本年7月14日付で「NHKふれあいプラザ」に抗議申し上げました(受信番号#513006)。しかし私には何の応答もないまま、私がこの抗議内容を伝えたブラジルの日本語新聞・ニッケイ新聞にのみ、御社が対応をはかるという異常な事態が発生しております。こうした重大な問題が再三の抗議にも関わらず放置されていること、そして今日なお誠意ある対応がうかがえないため、御社の問い合わせ対応機構および不正浄化機能に深い疑念を持ったまま、本件の質問状を作成した次第です。

私が御社「ハルとナツ」と類似を指摘している「60年目の東京物語 ブラジル移民女性の里帰り」は私が企画・構成・撮影・編集・報告を担当して「映像記者報告」という番組で東京MXテレビにより1996年1月に放送されました。その後、「MXアンコール」として何度か同局で放送されています。
この作品はさらに放送以外にも日本とブラジルの大学や研究機関、市民団体などの主催により上映会が行なわれてきており、私の記憶にあるだけでも御社スタッフの方にもご来場をいただいてご好評をちょうだいした覚えがあります。
また変わったところでは同作品は「ハルとナツ」原作者の方も乗船された客船「飛鳥」の船内テレビでも再三、放送されております。
さらに1998年には御社東京本社の技術スタッフによる研究会でも上映され、それを受けて私が御社に招かれて、御社スタッフの皆さんとの質疑応答にも応じております。

さて私の作品と「ハルとナツ」制作スタッフの方々の関係ですが、以下が御社の調査と私の共通認識かと存じます。
1.時期不明だが、「ハルとナツ」リサーチ担当者が、私を主人公として私のブラジル移民に関する撮影素材を用いて制作した御社ドキュメンタリー「日曜スペシャル」(1998年放送)の担当者に依頼し、担当者の所有していた岡村淳撮影・構成作品を何作品か借り出している(具体的な作品名は不明)
2.「ハルとナツ」制作統括・阿部氏がインターネットにより「60年目の…」の存在を知り、2003年2月に東京MXテレビより試写用テープを入手して参考試写をしている

以上を踏まえた上で、改めてご質問いたします。
拙作「60年目の東京物語」の内容は、御社ドラマ「ハルとナツ」の設定の根幹部分をなす設定の以下の3点と共通しております。
1.二人姉妹がブラジル移住をめぐって離れ離れになる
2.その後、通信の混乱から音信が途絶える
3.数十年後、ブラジルに移住した姉妹が初めて日本に残った姉妹を訪ねる
以上はドラマ鑑賞以前の公表資料により、ドラマの根幹部分として拙作との
共通とうかがえました。
さらに今回、実際のドラマを鑑賞して、瑣末な部分には触れずに、1点だけ特異な設定が拙作と類似することを挙げさせていただきます。
4.再会して初めての姉妹の懇談が、日本に残った女性は現在、邸宅に住むにもかかわらず、温泉宿で行なわれる

以上の4点に関して、いずれか1点に関してだけでも、拙作を参考にされているか、ないし拙作の影響があるのでしょうか?あるいは4点のいずれも偶然の一致なのでしょうか?

先にご回答をくださった金澤さんは、そのなかで「肉親の再会を題材にした番組、ニュースは数多く制作され、報道されてきています。」と書かれています。また同ドラマの記者会見においても、スタッフの方々がたいへん多くの移民関係の資料を調査したと自負されていたと承っております。
こうした数多くの調査を踏まえたうえで拙作を試写した阿部氏は、拙作と「ハルとナツ」とは「重なり合う部分は無いものと判断しました。」とご回答にありますので、拙作以上に「ハルとナツ」の設定と類似する事実や作品を数多くご存知のことと存じます。
ご回答の説得性の確認のため、私が上に指摘した4点の共通点に関して、3点だけでも「ハルとナツ」と共通するような事実ないし作品を、ひとつだけでも挙げていただけますでしょうか?

以上、ご回答をお待ち申し上げております。
敬具

2005年10月6日
ブラジル・サンパウロ
岡村淳



10/9記② 黒澤を生きる

サンパウロにて
黒澤映画の名場面を安手にパクるのではない。
黒澤映画のように生きたいと願っていた。
困難な状況のなか、黒澤映画ごっこをさせてもらう。
「七人の侍」のサムライ探しだ。
手応えあり。
仲代達矢も歩いているかもよ。


10/10記 継続は力なり

サンパウロにて
その後も私以外にもNHK「ハルとナツ」の疑惑についてこだわり続けてくださるサイトをご紹介しよう。
まずは在日・日本人作家、星野智幸さんの「言ってしまえばよかったのに日記」。
http://www.hoshinot.jp/diary.html
大放送局の思いあがりがよくわかる。
岡村の作品にこだわり、愛してくれている人たちがいることなど、先方は想像する気もないのだろう。
続いて在ブラジル・日本人ジャーナリスト、美代賢志さんのブラジルフォーラム「貴卑談語」。
http://www.brasilforum.com/
彼のロジックは日本を代表する放送局をはるかに超える。
友よ、御礼は次回作で…


10/11記① この道

サンパウロにて
今日のサンパウロ新聞より。
NHK連続ドラマ「ハルとナツ」が日本のメディアから『盗用』のレッテルを張られたことについて、日本のブラジル関係者から連絡があった。「このドラマは、私たちブラキチにとって念願のドラマだった。ブラジル日本移民支援に携わった先人たちも、いつかドラマ化されるだろうと夢見た人たちもいた。それを盗用だのとケチつけるとは情けない」と怒り。(後略)
大権力側の所産を手放しで礼賛し、異議を挟むものにはその根拠もたださず、問答無用で断罪する。
♪この道は、いつか来た道…


10/11記② 盗作じゃないですよ!

サンパウロにて
夕方4時から、市内栃木県人会会館にて「60人目の東京物語 ブラジル移民女性の里帰り」の上映会。
緊急のセッティングと告知にもかかわらず、約100人の人たちが集まってくれた。
当地の日本語新聞記者や日本からの特派員、フリージャーナリストなどに拙作を見ていただくことが主眼だったが、会場も広く、一般の方々にも門戸を開いたところ、こんなにお集まりいただけるとは。
実にいい上映会だった。
自分の原点とこれからを仲間と共に再確認できた。
いやでも下品な問題にも触れなければならない。
NHK問題も説明し、質疑に応じる。
年配の移民の方々のなかには、なにやら騒動が起こっていることはご存知だが、被害者と加害者を取り違えている人が少なからずいらした。
上映と質疑のあとでいただいた励ましの言葉。
「岡村さん、あなたのは盗作なんかじゃないですよ!がんばってください!」
……
ジョーダンでそんなふうに勘違いしている人もいるんじゃあ、なんて話していたら、実在したのだ。
少なくとも岡村作品が「本物」であることはご理解いただいた。
僕はこういう方々と、日常、そして人生を共にしながらドキュメンタリーを紡いでいる。
今後も「ブラジル移民の岡村です」と名乗らせてもらおう。


10/12記① 陳腐な設定

サンパウロにて
NHKドラマ「ハルとナツ」でNHK御用達となった在ブラジルの作家・醍醐麻沙夫氏が10月11日付サンパウロ新聞に特別寄稿されている。
題して「『ハルとナツ』のアイデアについて」。
氏は岡村のことを文中で「友人」としながらも私の言い分を直接聞かず、私の作品を見ることもなく論を進めておられる。
いわく「この程度の内容の相似で『盗作』という作家の存在にかかわる深刻な言葉をだされては困るなと思った。」「このアイデアはごく陳腐なもので独創性は何もない。」
岡村はさっそく反論を書いてサンパウロ新聞に投稿、本12日付に掲載されている。
新聞の売切れを待ってアップしましょう。
醍醐氏には、日本語新聞記者時代に実際に氏の担当をしていたフリージャーナリストの美代賢志さんがさっそく反論をサイト上でアップしてくれている。
http://www.brasilforum.com/
本件について「ハルとナツ」の原作者の発言は、寡聞にして知らない。
NHKは、私の最初の質問を受けて(「ハルとナツ」は原作者の)「人生から滲み出た、固有、かつ独自の構成、人物設定、セリフによる橋田さんのオリジナル作品です。」と発表しているが、そんな自作を「パクリ」だ、今度は「陳腐」だと言われて黙っていられるものだろうか。
ちなみに私の6日付再質問状に対する回答は今現在、なし。


10/12記② NHKの常識

サンパウロにて
日本のテレビ業界関係者の興味深いコラムを見つけた。
一本木剛さんが「日刊ゲンダイ」に発表された「NHK放送80周年記念番組『ハルとナツ』」。
http://www.fresheye.com/news/showbiz/20051011100000_gn_sh07018249.html
一本木さんが書かれているように、これは「NHK自身の信義と良心の問題なのだ」。
そのNHKが本社の研究会で上映して、番組のプロデューサーも事前に参考試写している岡村作品「60年目の東京物語 ブラジル移民の里帰り」とドラマ「ハルとナツ」は「表現や内容面で」「重なる面は全くないと判断しました」と公式発表していることをよく覚えておこう。


10/13記① 疑惑の尽きない「ハルとナツ」

サンパウロにて
NHKは沈黙したままだが、「ハルとナツ」のプロデューサーは事前に岡村の「大東亜戦争は日本が勝った! ブラジル最後の勝ち組老人」(1996年放送)もMXテレビから借り出していることがわかっている。
NHKさん、この作品は「ハルとナツ」の参考にされたのですか?
岡村の作品は「今も日本が戦争に勝ったと信じ続ける移民」との6年間にわたる交流の記録だ。
「ハルとナツ」のなかで、「今も日本が戦争に勝ったと信じ続ける移民」が登場するのだが、その設定と題詞に「既視感」があった。
ブラジルの勝ち組については文献が若干あり、当時の勝ち組の人たちの発言の記録も残されている。
映像作品でも「かつて日本が勝ったと信じていた」人のインタビューはわずかだが私も知っている。
しかし、「現役で」日本が勝ったと信じている人のドキュメンタリーは、寡聞にして私の作品以外を知らない。
あったら後学のため、ぜひ教えていただきたい。
ドラマの作り手としては、文字資料やかつて信じていた人の証言より、「今も信じ続ける」人の映像と音声を参考にしたくなるのは当然だろう。
しかも実際に入手しているのだから。
NHKさん、この作品は参考にされましたか?


10/13記② 前史の行方

サンパウロにて
この期におよんでのサーバーエラー、ご心配おかけしました。
さあて、何からいきますかな。
そうそう、パクリ問題の「前史」。
これについては、急きょ、さるメディアに書かせていただいた。
NHKの圧力のおよばないようなところに。
数日中に発表の予定。
お楽しみに。
NHKがFLASHの記事をつぶそうと、どんな手を使ったか。
涙あり、笑いありだ。
これはホントのオフレコの席でお話しましょう。
直球一筋のオカジュンもそろそろ思春期。
鍵のかかる部屋でも作りますかな。


10/14記① 作家・醍醐麻沙夫氏に答える

サンパウロにて
NHKドラマ「ハルとナツ」制作に協力された在ブラジルの作家、醍醐麻沙夫氏がサンパウロ新聞10月11日号に特別寄稿された岡村批判について。
同紙のオンライン版にはいまだ掲載されていない。
プロの作家の文章とはいえ、「写経」したい気が起こらないので、この批判のポイントを記すと、すでにお伝えしたように、
「この程度の内容の相似で『盗作』という作家の存在にかかわる深刻な言葉をだされては困るなと思った。」「このアイデアはごく陳腐なもので独創性は何もない。」
といったところ。
以下、掲載紙を見て即、記した岡村の反論。

醍醐さんへの返信
「ハルとナツ」の疑惑について

醍醐麻沙夫様
 
サンパウロ新聞2005年10月11日付の御投稿を拝読いたしました。
大先輩から私ごとき若輩のことを「友人」と読んでいただき、恐縮しております。
しかしその友人が、同紙同日の「モザイク」欄にもありますように、私の人と作品を知らず、知る気もない日本とブラジルの方々から非難され、誹謗中傷までいただいている次第です。こうした時に、友人の言い分を聞こうとせずにブラジル日系社会ならびに日本のブラジル関係者にたいへん影響力の大きいサンパウロ新聞に投稿されるのは、正直なところ、少し残念に存じます。御投稿にありますように「地道でかつ真面目な映像作家としての岡村氏の業績は買う」とまでおっしゃっていただくのなら、なおさらの思いがいたします。

報道にある「盗作」という言葉はたいへん重い印象があります。しかし実際には「盗作」の定義は極めてあいまいで主観的なものだと存じますが、いかがでしょう。ちなみに手元の広辞苑では「他人の作品を真似したり流用したりする事」とあります。
醍醐さんが作家として「『盗作』という作家の存在にかかわる深刻な言葉を出されてはこまるな」とおっしゃるのでしたら、我々表現者がよく用いる、もう少し軽い響きのある「パクリ」という言葉はいかがでしょう。ちなみに「パクリ」の定義は「はてなダイアリー」によると「他人・他社・他国の製品・作品を真似すること。盗作。剽窃。」とあります。
先方の作家は超高名であり、しかもNHKという大護送船団に守られていますが、ご自分の作品への今回の疑惑に関しての公式な発言は寡聞にしてうけたまわっておりません。かたや無名の移民である岡村は、嵐にもまれるジャンガーダぐらいの存在でしょう。しかし私も記録映像作家という作家であり、少数でも私の作品を今でもこだわり、愛してくれる人たちがいます。そして物言わぬ自分の作品の尊厳をかばう唯一の親なのです。

さて「ハルとナツ」は岡村がひとりで企画・構成・撮影・編集等を行なったドキュメンタリー作品「60年目の東京物語」(東京メトロポリタンTV―以下、MXと略―にて1996年放送)をパクったか、パクっていないのか。
2003年にNHKが「ハルとナツ」の制作発表をした段階で、ドラマのあらすじを聞いて私は「パクられたな!」とピンと来ました。すでにNHK側がMXテレビに「60年目・・・」などの岡村作品の試写用テープを請求されていることがわかっていました。さらに私の「60年目の・・・」を高く評価してくれているNHK職員から、NHK内でブラジル移民を題材にしたドラマを作りたい、という相談がその職員にあり、彼は私から譲り受けた複数の岡村作品を提供したという情報が入ったのです。
NHK側はこのドラマは2000年ごろから準備を開始した、とのことですが、1998年にはNHK東京本社内の研究会で私の「60年目の東京物語」が上映され、その後、私を招いての同作品についての質疑も行なわれています。拙作はNHK内部でも「知る人ぞ知る」作品でした。
以上に加えて「ハルとナツ」制作に当たってリサーチャーからプロデューサーまで複数のスタッフが岡村作品を参考にしている事実が明らかになっているのですから、「ひと言」私に挨拶があってもよかったのでは、と思うのですが、いかがでしょう。
移民作家はいつまでも黙って祖国の大メディアに素材を提供して、採用のあかつきには何の挨拶がなくても喜々としてありがたがっていればいい存在なのでしょうか。
上述のような事実があるものの、NHK側は「60年目の・・・」と「ハルとナツ」は「表現や内容面で」「重なる面は全く無いと判断した」と公式発表しました。こうした事態を知らない、かつて「60年目の・・・」を見ている人が、今回、「ハルとナツ」を見て「岡村さんのとそっくり」という感想を述べています。
ドラマの原作者は「日本人らしい日本人」を改めて考え直すドラマを書きたかったとおっしゃっています。取り寄せて参考にした作品には、作品と作者に敬意を表し、できれば謝辞を伝える。もし参考にしていなくても、準備段階で、あとで「パクリ」疑惑が生じる可能性があるほど類似した作品の存在を知れば、誤解を招かないように挨拶や根回しをしておく。それが日本人の、そして作家とそれを取り巻く制作陣の美徳であり、義務だと考えるのですが、いかがでしょう。

そもそも映像作品の問題を、文字の上だけをもとに論じるのは、どんなものでしょう。寿司屋を論じるのに、寿司屋のオヤジの発言を間接的に聞いただけで公に批判するのは無粋ではないでしょうか。零細な寿司屋そのものの営業の危機に関わっているのです。まずは寿司、食いねえ。
そんな「友人」岡村の言い分にも耳を傾けていただいた上で、尊敬する醍醐さんに拙作をご鑑賞・ご批評いただけるようでしたら、この上ない喜びです。

 2005年10月11日   岡村淳

(この反論はサンパウロ新聞10月12日号に掲載された)


10/14記② NHKの言わない事実

サンパウロにて
ドラマとドキュメンタリーはまるで別分野、その関係をとやかく言うのがそもそもナンセンス、という言い分が、世間様の注目を集める岡村の再質問状に1週間以上経っても沈黙し続けるNHK側にあるようだ。
そのドラマ「ハルとナツ」の同じスタッフが同ドラマの宣伝相乗効果を計るために、ドラマ放送にあわせてドキュメンタリー「にんげんドキュメント」をブラジル移民を題材に制作して放送しているのだから、泣かせてくれる。
NHKのドラマ準備以前に、NHK本社の研究会で「60年目の東京物語」を上映、岡村を招いての質疑応答があったのはお伝えした通り。
さらにこの以前に、岡村作品を高く評価するNHK「日曜スペシャル」の取材班が、「60年目の東京物語」の主人公、森下妙子さんと岡村の関係を「演出」して取材しているのだ。
その時の体験を書いたエッセイを私は1999年に発表している。
(「人の死ぬ取材 人を生かす取材」)  http://www.hoshinot.jp/okamura/shuzai.html
このNHKによる取材シーンは放送されなかったが、森下さんそのものは「日曜スペシャル」に、「ハルとナツ」のブラジル日系人エキストラの皆さんよりはずっとはっきり登場されている。
「NHK放送80周年記念ドラマ」準備段階のリサーチャーはこの番組を見て、担当ディレクターに岡村作品の提供を依頼したとのこと。
隠していないのなら、「知らない」なら知らないでよけい誤解を招き、知らなかったことの怠慢と対処を怠った責任を取る立場の人間がいるのではないか。


10/14記③ NHK関係各位

ブラジルにて

NHK関係各位

時下益々ご清栄のことと存じます。
拙サイトへの度重なるアクセス、ありがとうございます。
ついては私儀、しばらくブラジル内外の出張の日々が続きます。
先回の御協会からのご回答は手紙かファックスでお送りしたいとのことで、拙宅のファックス宛お送りいただきました。
またマナーとして受領の由を直ちにメールにてご報告申し上げました。
さて私からの御協会会長宛の10月6日付再質問状は、御協会の400字以上の抗議を受付けないメールアドレスを避けた2箇所のメールアドレスにお送り申し上げました。
再質問状の到着のご確認もさせていただけないままですが、拙サイトで同文を公開しております。
本日に至るまでご回答をちょうだいしておりませんが、恐縮ですが、ご回答をいただける場合は上記の事情から、このサイトからもリンクしております以下のメールアドレス宛にお願いできますでしょうか。
okamura@brasil-ya.com
当方の特殊な事情をご理解いただき、よろしくお願い申し上げます。

2005年10月14日 ブラジル 岡村淳


10/14記④ NHKの数の論理

ブラジルにて
NHK「ハルとナツ」の制作統括担当者からの私宛9月27日付回答にはこうある。
ドキュメンタリー、ルポルタージュにおいて、中国残留孤児
、またブラジル移民等における肉親の再会を題材にした番組、ニュースは数多く制作され、報道されてきています。

10/8付で紹介した私宛の匿名メールにも、
NHKからの謝礼目当てか?根幹の部分が酷似?ブラジル移民とその家族の事は腐る程やってるだろ?
さて。
「ハルとナツ」制作スタッフは番組の準備にあたって膨大な資料を集めたという。
しかし中国残留孤児の資料も集めていたのだろうか。
それに中国残留孤児とブラジル移民を一緒くたにするのは、双方にとっても心外なことではなかろうか。
さらにそれらのニュース素材まで集めていたのだろうか。
私はNHKでの仕事で、取材日時もわかっている移民関係のニュース素材探しに立ち会ったことがあるが、決して容易なことではなかった。
しかも労多い割りに使えないのだ。
実際に集めてないものを持ち出して、数多く云々という結論を持ち出されても困る。
現実的ではない要素、「等」といったあいまいなものを排除して、「ドキュメンタリー、ルポルタージュにおいて、ブラジル移民における肉親の再会を題材にした番組は数多くされている」と「ハルとナツ」側は解釈していると考えてよろしいだろうか。
匿名氏は「ブラジル移民とその家族の事腐るほどやってるだろ」とおっしゃるが、NHKのおっしゃる「数多く」とはどれくらいだろうか?
「肉親の再会」をテーマにしたブラジル移民のドキュメンタリーを、数多くとはいえ、100とはいわない、10でも5だけでも「膨大な資料」のなかから挙げていただけるだろうか?
さて、私もキャリア25年の映像屋だ。
映像屋は、新たな仕事のために人様のものを参考にする時、文献もさることながら、映像作品により食指が動きがちなことはご同意いただけるだろうか。
今回なら、ドラマやドキュメンタリーなどの映像を。
私は海外日系人の研究・啓発機関の関係者の意を受けて、海外日系人の映像作品リスト作りに協力している。
出来上がったものを見せてもらったが、移民のみならず子孫のもの、そして劇映画からアート映像までを含めても「たったこれだけ?」A4用紙ほんの数枚だったことを記憶している。
しかもそのなかで岡村作品が群を抜いて圧倒的に多いのだ。
岡村作品のブラジル移民関係のものは20作品近くある。
NHKが80年の歴史の中で制作したブラジル移民のドキュメンタリーと、岡村作品の数、トータル時間を比べても面白いだろう。
「ハルとナツ」のスタッフも大変お世話になったはずの神戸・旧移民収容所の啓発活動の中心人物からも「世界でただ一人、ブラジル移民を映像で記録し続ける岡村さん」と評価していただき、岡村作品をコレクションしていただいている。
それを知らないというのも、複数のスタッフが複数の岡村作品を利用しておいて参考にもしていないというのも、傲慢のそしりを免れないのではないだろうか。


10/15記 ベストセラーの言葉

ブラジルにて
大変なところの非常に大変な時期に来ている。
場所柄、日本語環境で発信できるだけで、感謝。
人類最大のベストセラーから。
 義のために迫害される人々は、幸いである。
天の国はその人たちのものである。
わたしのためにののしられ、迫害され、身に覚えのないことであらゆる悪口を浴びせられるとき、あなたがたは幸いである。喜びなさい。大いに喜びなさい。天には大きな報いがある。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。
「マタイによる福音書 5章10―12節」

ということで、いってみようか。


10/16記 緊急報告

ブラジルにて
ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン「neoneo」第45号に「緊急報告 NHK『ハルとナツ』の疑惑」(1)と題して書かせていただいたものが発表に。
興味のある方は、以下のアドレスからアクセスお願いします。
 まぐまぐ配信   http://www.mag2.com/m/0000116642.htm
 melma!配信    http://www.melma.com/mag/39/m00098339/


10/17記 アマゾンから

ブラジルにて
アマゾンに来ている。
この時期に、ぜひ明らかにしておきたいことがあった。
友人の協力により、それがかなう。
天網恢恢疎にして漏らさず。


10/18記① 検証・NHK疑惑

ブラジルにて
人事のような言い方だが、実に読み応えのあるリポートをご紹介しよう。
ジャーナリストを志望される人は、お手本にするといい。
以下からアクセスできる。
http://www.brazil.ne.jp/contents/nikkey/nikkey000_2005101617.htm


10/18記② 大殺陣 雄呂血

ブラジルにて
アマゾンでの上映会と、現地調査。
夜間の大移動。
新たに群がってくるドブネズミ、ハエ、ゴキブリ…
伐っても、伐っても。
映画「大殺陣 雄呂血」を思い出す。
1925年の板妻バージョンのあの大活劇ではなく、1966年の市川雷蔵の方。
ひとりで敵を伐りまくる。
敵は新たな集団を送り込む。
雷蔵は、肩で息をしながら、あえぎながら伐り続ける。
結末は、よく思い出せない。


10/19記① 踏み絵

ブラジルにて
今回の一連の問題で、先方側は関係者に「踏み絵」をさせているようだ。
友よ。
踏むなら、踏んでくれ。
もう「オカムラサンのために」とは決して言わないで欲しい。
それぞれ事情はある。
あなたの生き方の問題だ。
あなたが何を守り、何のために生きるかで判断して欲しい。
僕は偶像など踏みつけられても、痛くもおかしくもないから。


10/19記② 本業から

ブラジルにて
たまには本業の方のことも。
現在、仕上げ追込み中の最新作のサポート記事。
題して「ギアナ高地はすごい!」。
以下よりアクセスあれ。
http://www.univer.net/1_nanbei/0510.html


10/20記 危うしオカジュン!?

ブラジルにて
作家の醍醐麻沙夫氏がサンパウロ新聞の10月18日・19日としつこく連日で岡村つぶしの投稿をされている。
一部を紹介。
「岡村さんの翻意をうながしたいと思います。」
「もし、利用されるのが嫌なら、発表しなければいいのです。」だってさ。
これがブラジル日系社会を代表する文学者とされる御仁の発言である。
大黒澤とその遺族にとてもお聞かせできるレベルではない。
さあ、オカジュンはどうでるか?


10/21記 斬る

サンパウロにて
作家・醍醐麻沙夫氏への再回答。
もう、いいかげんにしてもらいたいもの。
作家・醍醐氏への素朴な疑問
醍醐麻沙夫様
18,19日とサンパウロ新聞を占めた上下にわたる投稿を拝読しました。醍醐さんと私の立場の違いを、改めて認識させていただきました。
あえて失礼を覚悟で申し上げましょう。前回の醍醐さんの投稿を読んだブラジル各地の読者の方々から、私にこんな感想が複数寄せられています。「醍醐という人は、NHKからカネをもらってるんじゃないか?」
これに関連して、私からの質問です。
1.「ハルとナツ」制作に当たって醍醐さんはご協力されたとのことですが、NHK側から謝金ないし謝品をいただいているのでしょうか?
2.今年9月に私がNHKに質問状を送って以来、NHK側から醍醐さんに岡村問題に関して何か依頼があったのでしょうか?
以上、差し障りがあるようでしたら、お答えいただかなくてもかまいません。
醍醐さんは岡村を「友人」「身近」と称しながら、岡村に直接、連絡を取ることもなく、そして岡村の2度のNHKへの質問状の内容を確認することもなく、「文章を公にするのに片手落ちがあってはいけないと思い、面倒だけどNHKに電話をしてみた」。同じサンパウロ市内の身近な友人には電話をして主張・事実関係を確認することはせずに、NHKには国際電話をして、先方の言い分を鵜呑みにして、友人を公の場で繰り返し、たたき続ける。読者の方々の疑問は深まるばかりでしょう。
私も告白しましょう。私は今回、話題となった「60年目の東京物語 ブラジル移民女性の里帰り」をめぐってNHKからカネをもらいました。しかしそれはNHKが放送80周年記念ドラマの計画を始める2年前のことです。NHK本社内の研究会で、岡村の手法と作品について同作品を上映して私が講演し、質疑応答を行なうというものでした。私の講演と質疑応答の内容はNHKの社内誌に掲載され、広く社内に知れわたるとのことで、私は責任者から承諾を求められました。これもNHKらしさでしょうか、承諾は求めらても、残念ながらいまだ刊行物は送られてきません。この時に講演料をいただきました。私はこうした上映・講演の際の謝金とカンパを製作資金としていますが、その時の金額は日本での相場程度だったと記憶しています。
私のこの作品はおかげさまで評判がよく、テレビでの再放送の他にも日本やブラジルでの上映会で何度か上映してもらっています。変わったところでは、「ハルとナツ」の原作者も乗船された日本の豪華客船の船内テレビでも再三、放送されています。
醍醐さんは「物書きとして発言しています」とありますので、私もキャリア四半世紀の映像屋として発言しましょう。映像屋はドキュメンタリーにせよ、ドラマにせよ、新たな企画を進めるにあたって、文献よりも、より映像を参考にしてしまうのが人情というものです。特にドキュメンタリー作品は、作り物ではない本物の映像と肉声が記録されているわけですから、ドラマを作るにあたってはこんなにおいしい情報源はないでしょう。実際に私はこれまで日本とブラジルの移民をテーマにしたドラマや映画の企画に際して協力して、作品も提供しています。
醍醐さんは「何万という再会物語」があり、NHK側もブラジル移民の肉親の再会を題材にした番組が数多く制作された、とおっしゃいます。こうおっしゃる以上、今回、「ハルとナツ」制作スタッフが岡村作品以外にも参考にした同種のドキュメンタリーをほんの数本だけでも挙げていただけると説得力があるのですが、NHK側は岡村の再質問状に対して、岡村作品以外に参考にした一作品も挙げることなく、沈黙を続けています。
他にもNHKと「ハルとナツ」についての疑惑は具体的にいくつもありますが、貴重な紙面を冗長に占拠するのは不本意ですので、ご関心がおありでしたら、下記の岡村のホームページをご参照下さい。
私の制作しているのは作り物ではない、事実そのものを記録するドキュメンタリーです。作者の私だけではなく、私の撮影を許してくれた被写体の方々は、生身の人間として私と共に生き続けているのです。私は愛するその人たちの尊厳を作家生命にかけて守らなければなりません。被写体の方々が故人となられている場合はなおさらです。そうした生身の人間の記録を作品としてではなく、ネタとして利用できるかどうかだけの関心で利用して、参考にしながら作者と作品に何の敬意も払わず、公の場で全く関係がない、と発表されたら責任者として黙っているわけにはいきません。実際の移民に敬意を払う気もない制作陣による移民ドラマに私は関心がありませんが、大資本・大権力を隠れ蓑とする制作者の怠慢と傲慢を問題としているのです。
醍醐さんは数年前、パソコンを駆使したデータベースを作成する、と華々しく邦字紙上で繰り返し発表されていたかと記憶いたします。寡聞にしてその計画がどうなってしまったのかは存じませんが、当然、パソコン、インターネットをたしなまれるものと思っておりました。醍醐さんの私への疑問、そしてNHKの数々の疑惑についてはすでにひととおり私のホームページ上に詳細に記載されており、連日、更新しています。ちなみに醍醐さんの11日付投稿に関して、かつて醍醐さんの小説連載に関わっていたジャーナリストがすぐにホームページ上で醍醐さんに疑問を発表しているのはご存知でしょうか。私への助言もありがたい限りですが、インターネット上のみでこの問題にアクセスされる数万人の方々に、ご自身の名誉のためにも対応されたらいかがか、と老婆心ながら申し上げさせていただきます。
お互い作家として、立場の違いから不毛・徒労の観も呈してきた投稿合戦より、新たな作品を通して切磋琢磨しあい、今後とも胸を貸していただけたらと願う次第です。
2005年10月19日 岡村淳
「岡村淳のオフレコ日記」 http://www.100nen.com.br/ja/okajun  



10/22記 現場にて

ブラジルにて
取材現場にて。
現場で癒され、現場で感じ、現場で学び、現場で考える。
初めに現場ありき。
大切なのは、現場でそれをする時間を持つこと。


10/23記 いま、僕にとってのドキュメンタリー

ブラジルにて
こんなのをドキュメンタリーと称されちゃ、正直、迷惑なものもある。
だが人のことはもうどうでもいい。
自分にとってのドキュメンタリーとは何か。
今回の現場で気付いたこと。
記録者の、写したい、残したい、伝えたい、という願い。
被写体(多くの場合、人間)の、あるときは無意識、潜在的な、写されたい、残されたい、伝えたいという願い。
この二つの願いは、あるいは祈りといってもいいかもしれない。
そうした魂のぶつかり合いと融合。
そこから発生することは、予定調和どころか、人知を超える展開をすることがしばしば。
その作業の所産が、とりあえず、今の僕にとってのドキュメンタリーかな。
ひと頃とは、ちょっと変わってきたかも。


10/24記① 整理・NHK疑惑

ブラジルにて
在ブラジルのジャーナリスト・美代賢志さんがNHK疑惑について、さらに詳しい分析を加えている。
モニターより紙で吟味したい内容だ。
アクセスは、以下から。
http://www.brazil.ne.jp/contents/nikkey/nikkey000_2005102118.htm


10/24記② 反骨のジャーナリスト

ブラジルにて
 そもそも、反骨の精神が希薄なジャーナリストを、ジャーナリストと呼べるのかどうか。
(「反骨のジャーナリスト」鎌田慧著、岩波新書)

今回は、在ブラジルのこうした二人のジャーナリストに支えられた。
そのひとり、美代賢志さんがさらに鮮やかにNHKの疑惑を浮き彫りにしている。
http://www.brasilforum.com/
以上の10月22日と24日の記載は、NHK疑惑に関心を持つ人の必読だ。
二人のジャーナリストに、おのれへの訓戒も込めて、鎌田さんの以下の言葉を捧げたい。
 記者が天職であるとすれば、それはどんなときにでも、言論の自由と言論の力を信じることであるはずだ。しかし、いわなければならないこととはなにか。取材の現場で出会ったひとたちが語る、彼らの夢や想いに沿ってのことでもあろう。
 そのひとたちの人権が国家と対立しているならば、潔く人権の側に立とう。さまざまな地域で押しつぶされようとする、未来への夢や想いは、個人のもののようであって、決して少数のひとたちだけのものではないからだ。(前提書)



10/25記① 河岸を変えて

ブラジルにて
本日付サンパウロ新聞に作家・醍醐麻沙夫氏の4度目のしつこい投稿。
ごまかしが目に付くが、こういう人にはもう取り合わず、新聞読者向けのメッセージをアサイチで書き上げる。
題して「河岸を変えて」。
邦字紙読者でインターネットもたしなむ層はごくわずかなので、そのあたりも考慮に入れて。
さあ、まだまだまだまだ。


10/25記② 砂上楼閣

ブラジルにて
それにしてもNHKという組織がこれほどデタラメだとは思わなかった。
「ハルとナツ」に関してもパクリ疑惑の他に、さまざまな問題のクレームが直接・間接に私のところに届いている。
既成の権威の上にふんぞり返って、虚偽と恐怖でごまかし通せると思ったら大間違い。
それに関係者の誰もがNHKに魂まで売り渡しているとなめてかかっていたら、更なる大間違いだ。
今回の問題も、弱者の尊厳の冒涜に端を発している。
自浄機能を失った巨大生物は、自家中毒で滅びるだろう。
そしてこの欺瞞・怠慢・傲慢の組織を支えているのは、他ならぬあなたの受信料だということを忘れてはならない。
いま、あなたにできることは?


10/26記 大御所作家

ブラジルにて
名文に触れた時の胸の高鳴り。
何度も目で追い、口に出して読み、書き写し、暗唱する。
ところが駄文となると…
さて、ブラジル日系社会の大御所とされる作家・醍醐氏のサンパウロ新聞昨日付の投稿。
読み流していたが、読み捨てならぬ記載が。
私は映像作家としての岡村さんの存在価値を認めていない訳ではありません。
失礼ですが、何様でいらっしゃいますか?
僕は神以外に存在価値を云々される筋合いはない。
しかも公の場でねえ、まったく。
こういう人はもう「敬遠」しよう。
そしてインターネットにアクセスすることもないだろう邦字紙読者の皆さん宛に岡村が投稿したところ、本26日付サンパウロ新聞に掲載していただいた。


10/27記 ドラマを生きる

ブラジルにて
いやー、ドラマチックっすよー、いろいろと。
鍵がかからないので、ここでは申し上げられませんが。
日本での岡村トークをお楽しみにね!


10/28記① 邦字新聞読者の皆さん宛

ブラジルにて
26日付のサンパウロ新聞に掲載していただいた岡村の投稿文をご紹介。
河岸を変えて  
記録映像作家 岡村淳
読者の皆さん、NHK「ハルとナツ」疑惑をめぐっての投稿合戦へのお付き合いと応援、心から御礼申し上げます。さすがの醍醐さんも岡村「説得」を断念してくれたようですね。
もとはと言えば私のNHKへの質問状に端を発した事件なのですが、正直なところ本業その他で、私としては前代未聞の取込み中の日々が続いています。
現在、92歳の移民植物学者・橋本梧郎先生と地上最後の秘境といわれるベネズエラのギアナ高地を共に踏査したビデオ記録の仕上げの追込み作業中です。私は撮影から編集まで、すべて独りで作業をしています。醍醐氏のような余裕も能力もないため、いくつもの作業を軽く流すということができません。撮影の時もそうでしたが、編集作業でも橋本先生との魂のぶつかり合いをしている思いです。そんな時、ハエが1匹でも紛れ込んできたら、作業を中断して叩き潰すまで創作に専心できなくなってしまうのです。
今月末に訪日して、この最新作「ギアナ高地の伝言 橋本梧郎南米博物誌」の完成と上映、さらに昨年完成させた「アマゾンの読経」の上映会を行ないます。加えてNHK疑惑については日本の多くの方の応援をいただき、ぜひ「60年目の東京物語 ブラジル移民女性の里帰り」の上映を、という運動が盛り上がり、首都圏から地方都市まで、すでに5箇所の上映と講演が決定しました。
「あのNHKドラマ『ハルとナツ』に多大な影響を与えたブラジル移民の映像作家・岡村淳監督のビデオ・ドキュメンタリー『60年目の東京物語』の特別上映会です。本物ならではの迫力と感動をぜひお確かめ下さい。」こんな口上です。
 日本に河岸を移して自分の信念を貫き、大権力メディアの欺瞞と傲慢を告発しながら全国行脚をいたします。
他にもご報告したい実に面白いことがいくつもあるのですが、敵さんはとんでもない手口を使って岡村つぶしを図ってきますので、残念ながら今は申し上げられません。
11月末には帰伯します。さっそく「ギアナ高地」のお披露目上映、そしてリクエストをいただいた団体で「60年目の東京物語」などの上映会が実現できそうです。
さあ、お代は、見てのお帰り。
皆さんの応援のおかげで、無名・無冠のたった一人の若輩移民が大NHKを向こうに回して、ここまで闘ってこられました。ありがとうございました。



10/28記② NHKの笑い話

ブラジルにて
心の師、故・上野英信の代表作から。
 ただ、こんなものでもなにかの捨て石になって、さらに広く深く現代の日本の底から笑い話が掘り起こされるようになれば、もっとも愚かしいものにわたしを賭けようとした目的の半ばは達せられたことになろう。
(「地の底の笑い話」 岩波新書・絶版)

さあ、笑い話を書こう。


10/29記① 緊急!ラジオ放送!

ブラジルにて
岡村インタビューのラジオ放送が間もなく始まる。
以下に詳細あり!
http://www.100nen.com.br/ja/radio/000117/20051031001394.cfm


10/29記② 再放送決定

ブラジルにて
敵さんはとんでもない手を使ってくるので、当方、とぼけていることもある。
これは新聞発表されたことだから、こちらも解禁。
以下をご参照あれ。
東京MXテレビ:「酷似」主張作家の番組、再放送へ
 東京MXテレビは28日、NHK制作のドラマに「自分が手掛けた番組に酷似している」と指摘した記録映像作家のドキュメンタリー番組を、12月上旬にも再放送すると発表した。
 ブラジル在住の記録映像作家、岡村淳さん(46)の作品で、MXテレビが96年に放送した「60年目の東京物語 ブラジル移民女性の里帰り」。岡村さんは、2日から5夜連続で放送されたNHKのドラマ「ハルとナツ」について、姉妹がブラジル移住を巡って離れ離れになる点などが「60年目の東京物語」と似ているとして、NHKに質問状を送っていた。NHKは「ブラジル移住で家族が別離する話はよくある。制作スタッフが岡村さんの作品を視聴したが、まねてはいない」と反論している。
毎日新聞 2005年10月29日 東京朝刊



10/30記 「キル・ビル」の美学

ブラジルにて
クエンティン・タランチーノ監督の、あの「キル・ビル」。
伊藤俊也監督の「女囚701号 さそり」にインスピレーションを受けた話だ。
両者の共通点は、「恋人に裏切られた女が、男に復讐をする」というぐらいで、ちょっと見ではもう別物の印象だ。
この共通点だって、ブラジル日系社会の大御所作家に言わせれば、「物書きなら誰でも思いつく『陳腐な設定』」ということになるだろう。
しかしタランチーノはどれだけ自分の発想の原点となった作品と作者にオマージュを捧げ、敬意を表しているかは作品を最後まで見たものには明らかだ。
ハリウッドは日本の東映のB級映画に、あれだけ敬意を表した。
ハリウッドはここまでやる・ここまでできる。
ひるがえって日本のNHKはどうだ。
人様の作品の設定をかっぱらって挨拶どころか、まったく関係ない、とシラをきる。
こうしたドロボー行為は「盗作」、「盗む」の語にふさわしい。
盗人猛々しいとはよく言ったもの。
ものをつくる人間・組織として、これほど恥ずかしい行為があろうか。
ものをつくることそのものへの冒涜だ。


10/31記① メールボックスから

ブラジルにて
最近、いただいたメールから。
メイシネマ上映会で岡村作品をフォローしてくれている人より。
例のドラマを朝刊のテレビ欄で見た瞬間から、岡村ワールドがNHKに侵犯されたなと直感しました。
最近は自宅に深夜寝に帰るだけなので、ほとんどテレビは見ませんが、あらすじを読むと、数年前、貴兄を東京で振り回したわがまま婆さんそのものです。(中略)
橋田女史が盗作したと口が裂けても言えなくても、企画の段階で参考にさせていただいたとあっさりと謝罪すればよかったのにと思います。
巨大組織がゆえの病理ですよ。

岡村作品を見ていればピンとくること。
NHKはいくつもの間違いを犯した。
たかが東京メトロポリタンTV、それも無名の移民記録映像作家の作品、ばれるこたあない、とナメたこと。
もし本人にばれても、こいつ、経歴にNHKで作品を発表しているとあるから、せいぜい揉み手でもしながらまた仕事を回してください、と擦り寄ってくるぐらいだろう、と踏んだこと。
カネにも売名にも関係のない、経済的には無駄なことに体を張る。
大組織の権威にふんぞり返る人種には想像もつかない人間が、業界関係にもいるってことだ。


10/31記② 本番へ

ブラジルにて
なんの力にもなれないけれど、とメールをくれる人がいる。
取込み中だろうから、とメールを出すのも控えながら心配してくれる人がいる。
ありがとう。
そうした皆さんの応援と励まし、願いと祈りの集成としてここまでやってこれました。
さあ、これからが本番。


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