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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2006年の日記  (最終更新日 : 2007/01/01)
2月の日記・総集編 アガリクス問題を読む

2月の日記・総集編 アガリクス問題を読む (2006/03/01) 2/1記 される側から

ブラジルにて
なぜか日本とブラジルのメディアから同時にインタビューが入る。
ブラジルの方は、先方が短時間にこまめに何度も連絡をよこすので、先方のケアレスミスが防げたかもしれない。
これはテーマが岡村や岡村作品そのものではないので、どんなコラージュになるのかよくわからず。
もうひとつは日本のブラジルがらみのミニコミ誌。
先方が年末までにお願いしたいということだったが、1月末に質問一覧が届いた。
最初にインタビュー依頼があった時に、「インターネット時代ですから、質問一覧を送ってきて、こちらが一辺に答えて送るというのは流れの面白さもないので、お手数でも一問一答をネット上で繰り返してやってみませんか?」と提案したのだが、「お手数」と思われたらしい。
答えの方ですでに出された質問に流れを作る、という芸当にチャレンジしてみる。
オレにする質問かよ、というのにもこらえて面白おかしくウンチクのありそうな答えをサービス。
いずれもノーギャラだ。
ネットラジオ「ブラジル日和」の櫻田さんの、岡村インタビューに備えた事前の調査と準備は見事だった。
http://www.100nen.com.br/ja/okajun/000051/20051108001410.cfm
周到な準備と絶妙なアドリブ、これでつまらなければ選んだ素材の問題。
今まで出会ったサイコーのインタビューのエピソード。
あの橋本梧郎先生のさるお祝いに、日本語新聞の新顔の記者が来た。
「ところでハシモトサンは何をしてる人ですか?」
もちろんご本人への独占インタビューである。
忍耐は橋本先生に学んだ。


2/2記 アンダーグラウンド

ブラジルにて
本日付のサンパウロ新聞の記事。
「ボサノバに夢託して」の見出し。
冒頭、「ブラジルではすっかりアンダーグラウンドミュージックとなってしまったボサノバだが(後略)」とある。
アンダーグラウンドミュージックという言葉の意味が取れない。
この新聞の読者はほとんどがブラジルの日本移民、平均年齢は60代後半を下らないのでは。
40代半ばで、年に一度以上は訪日して、しかも仮にも日本語表現を生業としている不肖岡村にも意味が取りにくいのだから、ましてや・・・
書き手と読み手のギャップの大きさという意味では、実に面白いメディアである。
試みに「アンダーグラウンドミュージック」という言葉を検索してみると、確かに音楽分野で使われている言葉のようだ。
しかしズバリ「アンダーグラウンドミュージック」とはなにか、という定義が見当たらない。
在ブラジルで音楽通の若い知人に電話で聞いてみる。
「使っている人によって意味合いはさまざまじゃないでしょうか?」
そういう言葉を記事に使われても・・・
まあ、非主流、インディーズ、細々と、といった意味合いが持たされるらしい。
するってえと岡村作品は、まさにアンダーグラウンドドキュメンタリーであるな。


2/3記 カルネ・デ・ソル

ブラジルにて
冷凍庫にあった牛肉の切り身らしきものを解凍してみる。
量は少ないし、ちょっとヤバい感じ。
さあどうするか。
冷蔵庫の方にも牛肉が若干残っている。
外は・・・まあ日が出ている。
またカルネ・デ・ソル(太陽の肉)を作ることに。
カルネ・セッカ(乾燥肉)とも呼ばれる干し肉だ。
「ほしにく」で変換されないぐらいだから、日の本ではあまりなじみがなかろう。
夏の南回帰線下の日差しなら、午後の数時間でオッケー。
今日は味付けを変えてみた。
子供たちにも好評。
小片を口にすると、すぐにノルデスチ(ブラジル北東部)の記憶が。
内陸の乾燥地帯での岩絵探しの日々。
グラウベル・ローシャの映画。
現地でどのように干し肉を食べたかの記憶はないが、現地そのものをまざまざと思い出すから不思議。


2/4記 破壊

ブラジルにて
朝、娘をダウンタウンに送りに行く。
車はめんどくさいので、メトロと歩きで。
いつもと別の駅で降りてみる。
徒歩だと、車では見逃していることがいろいろわかって面白い。
あれ、ここは・・・
日本移民ゆかりの建造物が見事に破壊されている!
ここは歴史建造物指定じゃなかったのか?
2年後に控えたブラジル日本移民100周年。
これにかこつけたグロテスクな動き。
日本側に金をせびってハコモノを作り、さらにインチキな記録プロジェクトなどをでっち上げて、その利権に群がろうとする百鬼夜行の蠢き。
そんなものにまるで興味のない僕あたりの耳にまで入ってくる。
移民霊よ、化けて出よ!
罰を与えよ!
僕は、イベント抜きの常日頃からのあなたたちの記録だけで、精一杯だ。


2/5記 未明の怪音

ブラジルにて
未明、居間の方でガサガサ音がする。
最初に思ったのは、カブトムシの飛翔音。
出向いてみると、水槽の厚紙のふたは閉じており、カブトムシは地中でひっそりしている感じ。
台所も異常は見当たらない。
ブラインドウが風に揺らいだ音だろうか?
パソコンをいじりながら、待機。
また音!
カブトムシでなければ、スズメガか大型カナブン級の昆虫に違いない。
やはり我が家の三角カブトムシ君だった。
埃まみれでソファに着地したところで、御用。
真夏の高層アパートなので、居間の窓は開いていたのだが、脱出に失敗。
このカブトムシ、日本産より手足のトゲが発達しているとみえて、捕獲には難儀する。
水槽内に戻すと、すでに内部に置いた小枝を動かして脱出する方法を学習していた。
内部が蒸れること、そしてガラス壁は登れず、いきなり飛翔する可能性は難しいことから厚紙をふたにしていたが、本来のガラス屋根をかぶせる。
そもそもこの三角カブト、大人のコブシ大以上の礫を平気で動かす。
腐葉土中に次々と見事なトンネルを掘っていく。
土木仕事量に学習能力、見た目は地味だがはるかに日本のカブトムシをしのぐのではないか。
ブラジルの底力。


2/6記 観音開き

ブラジルにて
あなとうと。
こんなHPオープンのお知らせをいただく。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/9314/index.html
「伊豆大島富士見観音お掃除隊」。
感無量。
ありがとう!
当方は年内に藤川師没後20周年を記念して「アマゾンの読経」改訂版をしめやかに完成させるつもり。


2/7記 北極が揺れると

ブラジルにて
北極振動とかで地球全体が冷え込んだらしい。
わがサンパウロも異常な冷夏が続いた。
そろそろ夏時間も終わろうかという今頃になって、猛暑・残暑。
深夜でも汗ばむほど。
未明の涼風が心地よい。
夜は冷やし中華でも作るか。


2/8記 七回忌

ブラジルにて
朝、中隅みつ子さんからお電話をいただく。
故・中隅哲郎さんのお連れ合い。
こちらからも連絡したいと思っていた。
この4月で七回忌。
西暦2000年、4月、5月と数少ないソウル・メイトを亡くした。
5月に古城泰さん。
古城さんの追悼ドキュメンタリー「KOJO」のポストプロ作業を先週から開始している。
今年前半は、故人追悼がメインとなる予定。
死者を悼む、というより、そうした人物に巡り会えた喜びを伝える作業としたい、と考えているのだが。


2/9記 豆腐の過度

ブラジルにて
最近の当地コロニアの話題から。
在サンパウロの70代の台湾人女性が食中毒で亡くなった。
原因はリベルダーデで買ったトウフ、とのこと。
このトウフ、中国からの輸入瓶詰めの腐乳のことらしい。
腐乳、不肖オカムラも台湾訪問時に、よくオカユと一緒に食べたものだ。
普通の日本人の味覚には合わなそうな一品。
中国産食糧品のヤバさは、先日、ヨーロッパから訪ねてきた友人が怒りを込めて語っていた。
「大紀元」紙あたりによく問題が指摘されている。
珍味、そして安価なものにはリスクが伴なうってことか。
そんなリベルダージに行きました。
鶏ガラでスープを取ってラーメンを作ろうと計画。
中国系の店でこちら産のチャーシュウーでもないか、と踏んだのだが。
かつては売られていたが、時節柄か今日は見当たらない。
その代わり、カンボジアの大衆食堂で親しんだタイランド製の魚醤を発見。
折りしもカンボジア取材の映像をチェック中。
さあ南米でアジアをアジアおう。


2/10記 ブラジル・リブレ

ブラジルにて
It's 晩酌タイム。
もらい物のチンザノの残りは、すぐに空いてしまう。
ちょっとピンガは重い感じ。
フィリピンから日本経由で担いできたTANDUAYラムがある。
コーラで割って、キューバ・リブレといってみっか。
昨年、カガヤンでガンガン飲んだっけ。
さて我が家にはコーラのような悪趣味なものの貯えがない。
買いに行くのも面倒…
ストックのあったブラジルの国民的清涼飲料グアラナで割ってみる。
結果は…
やめた方がいい。
グアラナっぽさがまるで死んでしまう。
ピンガのグアラナ割りで失敗した経験を思い出す。
癖のない焼酎のグアラナ割りなら、いけるかもね。
ブラジルの自由は一筋縄ではいかない。


2/11記 トップの顔

ブラジルにて
ここのところこのサイト、TOPページを飛び越えて直接、日記ページへのアクセスが増えてきた。
TOPページに東京での上映会のお知らせをアップしたばかり。
ちょうど拙サイト、丸2年を経過したこともあり、TOPの写真を変えてもらい、「ただいま制作中!」の作品「KOJO」にも写真を2枚ほど入れてもらう。
「ただいま制作中!」は時々、文章を変え、写真を増やしていきます。
お楽しみに。


2/12記 コルクの森

ブラジルにて
台所の引き出しに、ワインのコルク栓が貯まっていた。
まず再利用することがない。
お、そうだ。
飼育中の三角カブトムシの水槽に散らしてみる。
腐葉土に飽き飽きしているだろうカブト君、しばらくすると、角と前脚でコルクにアタックしている。
妙な感覚を覚えていることだろう。
コルクの森を思い出す。
恥ずかしながら、コルクとはチップ材のようなものを圧縮したものだと思っていた。
ポルトガル旅行に際して、事前にガイドブックを読んでコルクの樹があること、そして地球上の9割以上がポルトガル産と知った。
夏場の乾いたコルクの森を歩いた。
虫の気配は、さして感じられなかった。
乾燥が強かったせいか。
あの森に、ムシキングは生息するのだろうか。


2/13記 女の一蹴り

ブラジルにて
先月、パラナにお連れした日本からの研修留学生が、今日からまた現地に行くという。
ちょうど、ことづけものもあるので、夜行バスのターミナルに向かう途中に落ち合う。
ひとつ、注意事項もあった。
長距離バスの痴漢対策。
日本のような満員電車の痴漢は、当国では聞いたことがない。
しかし昨年、車で現地にご案内した日本人女性から、帰りのバスで痴漢の被害に遭ったと報告を受けている。
現地の日本人シスターもバスで痴漢に遭ったと言う。
ベールを被り、修道服を着たシスターに挑むとは。
「その時、どうなさいました?」
「思いっきり、蹴りました」
今日の彼女には、万が一、痴漢に遭遇した時は、
1.大きな声を上げること
2.立ち上がって運転手に報告すること
3.思いっきり、蹴ること
のオプションを伝授しておいた。
無事だといいが。


2/14記 アガリクス問題を読む・1

ブラジルにて
日本の厚生労働省がキリンビールの子会社・キリンウエルフーズ社の「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒」にラットを用いた実験で「発ガンを促進する作用がある」と発表したとの報道。
先回の訪日でも、これはという方々には姫マツタケの抽出液をお土産としてプレゼントしている。
先日も、ガン患者の身内のためにぜひ、という日本の知人のために郵送したばかり。
少なからぬ人たちから「奇跡的効果」を喜んでいただいている代物である。
報道を深読みせずに、せっかく日本まで担いで行った高価かつ壊れ物をみすみす放り出されては残念至極。
それ以上に、当地での生産者にとっては死活問題だ。
拙作「41年目のビデオレター グアタパラ編」は、日本への出稼ぎから帰り、姫マツタケ栽培に賭けて停滞する日系移住地を活性化しようとする家族の話。
姫マツタケとアガリクスの関係、違いというのはちょっとややこしい。
姫マツタケは、学名「アガリクス ブラゼイ」と呼ばれるブラジル自生のキノコを世界で始めて人工栽培に成功させた日本の岩出菌学研究所の岩出101株から栽培される、いわばオリジナル種である。
そのため、姫マツタケ生産者は、素性の知れないアガリクスと姫マツタケを一緒にされることを嫌う。
同じマツタケでも日本産と韓国産で香り等が異なるように、菌類は実にデリケートなもの、とのこと。
さてこの報道を読んで、まずはキリンウエルフーズの製品にアガリクス以外の混入物があるのでは、と疑った。
しかしサイト等で調べてみると、この製品は100パーセント、アガリクスのみを使用しているとのこと。
ふむ。
今度は報道を数社のものを比較してチェックしてみて、問題の製品は中国産のアガリクスを使用していることがわかった。
中国の農産物・食料品がヤバイということは先日も拙日記で「大紀元」紙を引用して書いたばかり。
ブラジルでも工業汚染の激しいサンパウロ近郊のある地方産のアガリクスは、土壌含有の重金属等のリスクから、良心的な生薬関係者は扱っていない。
中国産という点でのリスクを、姫マツタケ生産の権威の方に尋ねてみた。
すると、こんなお返事をいただいた。
中国産はカドミウム、水銀が多いのです
→カドミウム
 堆肥の原料に過酸化リンを使うとキノコの発生が促進されます
  中国はこれを使うのです
  過酸化リンには大量のカドミウムが含有されています
→水銀
  田んぼなどの除草剤には水銀が含まれており、その残留が
  イナわらなどに蓄積します。
ブラジルはサトウキビの絞りかすで水銀はほぼ微々たる物ですが
  中国は水銀含有量の多いイナわらを使うため大量の水銀を
  キノコが吸って鉛などの重金属まで吸収してしまうのです
→中国の土壌はもともと重金属が含まれています
  それ以上に除草剤などを使った土で栽培していますので
  ブラジルに比べ重金属が多いのです
→ご承知のようにただ癌の原因は重金属が主因ではありませんが

姫マツタケの驚異的な効果を脅威とする「伝統的」化学医療業界や薬品メーカーなどからの圧力は、ブラジルでもしばしば、とのこと。
本当に優れたものが残り続けることを願うばかり。


2/15記 アガリクス問題を読む・2

ブラジルにて
本日付のブラジル発行邦字紙ニッケイ新聞にアガリクス問題についての続報がある。
主にブラジルでの生産者に取材したもののまとめ。
記事でわかる範囲の生産者の問題意識のレベルに正直、がっかり。
「ブラジル産は、中国産に比べて味もよいし、香りだって違う」とある社長の発言。
味と香りを求めてメチャ高いアガリクスを買っている人が、どれだけいるか。
問題は、学名「アガリクス ブラゼイ」というキノコそのものに発ガン性があるのか、あるいは産地の生産環境や添加物等による発ガン性なのか、ということではないのか。
自分の生産しているものに確かな自信があるのなら、当然そこに気づき、問題の発ガン性は何に由来するものかについて言及してくれてもよさそうだ。
別の代表いわく、
「アガリクスは、もう古くなってきたのでは。そろそろ次を考えていきたい。」
若さとソコソコのルックスだけがとりえの使い捨てのAV女優なみに扱われては、アガリクス ブラゼイが気の毒である。
売れているうちにあざとく大量に生産して大量に売っ払い、ブームが去ったらさっさと次のものに乗り換える。
今回の問題は、天然界にひそむ現代科学・医学ではまだ解明できない人類にっとての福音を、いたずらにもてあそんで金儲けばかりを図る風潮に対しての警告といえそうだ。
そういった連中は早く次に乗り換えるなり、淘汰されて欲しい。
こうして細々でも信念と信用のある本物が残ってくれるだろう。
そもそもこのキノコの奇跡的な効用が、何に由来するのかもよくわかっていないのだから。


2/16記 アガリクス問題を読む・3

ブラジルにて
拙稿「アガリクス問題を読む・1」を呼んだ友人が、以下のコメントをくれた。
彼は日本の大学で化学を専攻。
その後、オウム真理教に、というのはウソで中国駐在というキャリアを持っている。
貴兄のHPにもあったとおり、キリンフーズのアガリクスが問題となっていますね。
全然根拠はないのですが、このニュースを知った時一番初めに感じたのは、やはり原料の輸入元と品質の関係です。
私が絶大なる信頼を寄せるプロポリスでさえ、原料によっては毒にもなりますからね。
中国製のアガリクスは重金属を大量に含んでいるため、体に悪いという説がありますが、それについては疑問です。
重金属の含有量を測るのは技術的に簡単ですから、副作用やクレームに常におびえている日本の食品メーカーがそれを見落とすとは思えないのです。
あくまでも想像ですが、それ以外の原因かと思われます。
中国の食の荒廃については私も肌で感じました。
そこでは氾濫する偽物の中に自国の文化というものがありました。
食文化を文化の代表と考える私には、みんなが食べている偽物の中華料理にはえらくショックを感じました。
大量生産、生産効率、経費節約だけを重視した結果の味のない野菜や肉などの材料、大量の味の素と油脂。
悲しかったです。
そんな偽物だらけの食材の中でアガリクスがどうして健康に育ててもらえるのでしょうか。

さすが、ハガレンどころかパウロ・コエーリョのブーム以前に錬金術師の異名を取っていただけのことのある世間師。
教わりました。
して、それ以外の原因とは、例えば?


2/17記 アガリクス問題を読む・4

ブラジルにて
本日付朝日新聞のオンライン版より。
「がんに効く?健康食品を検証 厚労省研究班が春から」の見出し。
ガン患者の半数近くが利用しているとされる健康食品について、ガンを抑える力が本当にあるかどうかを調べる臨床実験に、厚生労働省の研究班が日本の春頃から取り組む、という。
キノコ類の健康食品を早期の前立腺ガン患者に採ってもらい、ガンの進行度ならびに肝機能異常などの副作用が生じないかをみるという。
この研究プロジェクトの発表についてはなぜか厚生労働省のHPには見当たらないが、去る13日に厚生労働省が発表した「一部のアガリクス製品に発ガン性促進の疑い」の問題とどういう関係があるのか、興味深いところ。
今回、発表された研究は実施が遅い感もあるが、結構なことに思える。
しかし健康キノコ業界関係者によると、どんなアガリクスや姫マツタケが使用されるかが心配、とのこと。
不肖オカムラもドキュメンタリーとして一緒にくくってもらいたくないドキュメンタリーと称するモノ、そして移民モノということで一緒にされたくないインチキドラマなど有害な映像作品とそのスタッフに被害をこうむっている。
さて、厚生労働省が分析した3種のアガリクス製品のうち、中国産のキノコを用いた1社の製品から検出された発ガン性を促進するものとは、一体なんなのか?
拙サイトをご覧いただいた業界関係者たちからちょうだいした、いくつかのご意見をまとめてみよう。
1.キノコ乾燥過程で生じるカビ
2.劣化を防ぐ添加物
アガリクス、アガリスク(!)、アガリクス茸、姫マツタケ等々と呼ばれているいわゆる「アガリクス ブラゼイ」種のキノコは、採集後、短時間で変色・腐敗が生じてしまう。
そのため、採集と同時に速やかに洗浄・乾燥のプロセスを進めなければならない。
これは僕もいくつかの生産現場で見させてもらっている。
一斉に発生した場合、キノコ処理が間に合わないことが考えられ、また、乾燥器に沢山のキノコを詰め込むため、すのこ上段は乾燥が遅れます。
例え45℃にセットしていても上段は30℃前後で長時間黴がはえる温度体を維持します。
沢山発生したからといって天日乾燥したのは論外です。
黴は水分15%前後でも旺盛に増殖します。
黴毒にはアフラトキシンといって発がん性や肝障害、遺伝毒性もあります。

以上は、ある専門家からいただいたコメント。
岡村はこのキノコの生産プロセスを知るシロウトだが、この説明でとりあえず納得がいった。
今回の教訓。
菌類が人類にもたらしてくれる福音を、もっとも忌まわしい方法でもてあそぼうとした人類に対する、菌類からの戒め。
さて、岡村が持参して差し上げた姫マツタケ抽出液をお持ちの皆さん。
お渡しする時にご注意申し上げたはずですが、これは防腐剤などを使用していない、なまものです。
開封後は冷蔵庫に保存してください。
日本の夏場に開封して常温でほったらかして、カビが生えたようなの飲んでから恨み言は言わないでね!


2/18記 姫をナマで

ブラジルにて
拙稿「アガリクス問題を読む・2」を読んだSR.ARQUEMISTAから、こんなメールをいただいた。
アガリクス生産者の「ブラジル産は味も香りもいいから効く!」という言葉は説得力を感じます。
有機系の有効成分が入った健康食品って、絶対に「おいしい」と感じられるものの方が効くはずです。
人間の味覚嗅覚って、現代のどんな分析機器よりも正確ですから。
私にとっての万能薬「葛根湯」は私にはとてもおいしく感じられます。
この前貴兄にお会いした時、「アガリクス(姫マツタケ)はとてもおいしい」という言葉を伺って「岡村さんにアガリクスはとてもよく効くんだろうな」と感じたことが思い出されます。
一日も早くアガリクスの濡れ衣が解けることを祈っています。

ブラジルの姫マツタケ生産農家に滞在させていただいたことがある。
朝一番で収穫した姫マツタケの生食をすすめられた。
酢味噌がいいと言う。
これが!
えもいわれぬノーブルな香りと味わい。
酢味噌が絶妙なアクセントとなり、いくらでもいただける。
ありがたき幸せ。
先回、記したように、「アガリクス ブラゼイ」は収穫後、さっそく変色・腐敗が始まるので、生食は生産地ならではの贅沢な特権。
ブラジルで、これだけを食べるために現地まで行ってもいい、と思う食べ物の筆頭だ。
次回はバルザミコ酢と醤油(遺伝子組み換えでない)、それにバージンエキストラのオリーブ油でいただいてみたいもの。
姫をバージンで。


2/19記 CM込み

ブラジルにて
今日は日系の老人ホーム「憩いの園」で拙作「60年目の東京物語 ブラジル移民女性の里帰り」上映。
ここに90歳になられた主人公の森下妙子さんが入居されている。
昨年から入園されている方々からぜひ見たい、という強いご希望があったとのこと。
今日は今年初めての入園者の家族の集う「家族会」ということで、そのアトラクションとして実現した。
なるべく「シネマ館」に近い雰囲気で、という世話役のシスターのご要望。
僕なりに考え、日本での上映ではすっ飛ばしていたCMもそのまま流すことにした。
思えば先日こっちのシネコンで見た「芸者の記憶」(邦題「SAYURI」)なんざ、本編前の宣伝だけで15分以上あったしね。
悪くない狙いだった。
本編は言わずもがな、CMも皆さん、食い入るように見入っていた。
かつて日本から届いた船便の詰め物として押し込んであった古新聞をむさぼり読んだ、という移民の心情を読んだ。
祖国ではカス、夾雑物でも、こちらでは意味がまるで変わる。
この辺が移民のやめられないところ。
ちなみにこのホームでは、NHK国際放送が各所におかれたテレビ受像機から垂れ流しにされている。
映画「キリング・フィールド」のオンカーの放送を思い出す。
アホなCMで息を抜こうぜ。


2/20記 「アニメとマンガが大爆発!!」

ブラジルにて
キノコ問題を引きずってしまい、ご紹介が遅れました。
1/22記「サブカル爆発!」で触れた当地でのアニメ・マンガフェスティバルについて描いた拙稿がアップされています。
http://www.univer.net/1_nanbei/0602.html
いろいろな書きようがあったが、とりあえずこんなところで。
なにせアニメ・マンガの現役を退いてウン十年だからねえ。
まあ面白かった。


2/21記 梅林バージョン

ブラジルにて
昨日・今日と「赤い大地の仲間たち フマニタス25年の歩み」のバイリンガルバージョン制作の件で、本業「KOJO」は手付かず。
今日は編集スタジオで大詰め。
日本人・日系人・ブラジル人が同時に感動を共有できるためのプロジェクト。
日本語・ポルトガル語同時バイリンガルバージョンなどという作品の存在は、寡聞にして他には知らない。
2年後にブラジル日本移民100周年を向かえ、ゴチャゴチャと企画が出されている。
特にそれとは関係のないこちらのプロジェクトだが、意義の点では他の追随を許さないものを感じている。
このアイデアをくれたのは、在日本の友人。
この人はかつて、史上初めて岡村作品の連続上映会を企画・実施してくれた人。
感謝です。
これで、ノウハウはできた。
あの時の自主制作ビデオも手探りでしたな。
あとの岡村作品も、金さえあればできる。


2/22記 「テーマなんていらない」

ブラジルにて
キノコ続きのうちに、もうひとつオンライン上で拙稿がアップされている。
ドキュメンタリー映画のメルマガ「neoneo」52号にて「テーマなんていらない」。
http://www.melma.com/backnumber_98339/
さあもうひとつ書かなくちゃ。
今度は紙メディア。


2/23記 今日の新聞

ブラジルにて
朝、子供たちを送っていく際に、今日の新聞を門番から受け取る。
駐車場へ向かうまでに、ブラジル新聞は一面トップぐらいを見て、日本語新聞2紙は日系社会面の記事の見出しをざっとチェックする。
まず、老舗のサンパウロ新聞。
見出しだけで不快になる記事があるが、これはまたじっくりと。
もう1紙のニッケイ新聞。
先日、メールで取材され、人様の写真を提供したものがどうなったか気にしている。
これといってひっかかる見出しもなく、連載記事の写真が昨日と同じ故人の写真を使用しているのに気づく。
よく見ると、記事の内容もまるで同じ。
そもそもこれは昨日の新聞ではないか!
当地の邦字紙にはチョンボは付き物だが、同じ日付の新聞を連日配達するというのは、今まであったっけな。
元旦付の皇族一家カラー写真入りのが年末に届くことは恒例だが。


2/24記 君子危うきに

ブラジルにて
夕方、息子を車で迎えに行った帰り。
日本なら右翼の街宣車かといった音量の車が近づいてくる。
運転席のあんちゃんは片手にハンドル、もう片手にこれ見よがしに缶ビール。
奏でるのはカーニヴァルのサンバ。
目が合ったらヤバい感じ。
このテの車が少なくない。
さんざんテレビでビール会社がこのシーズン向けの宣伝を垂れ流している。
効果覿面ですな。
今晩からカルナヴァルの騒ぎが始まる。
そして交通事故で何人、ケンカで何人死んだという記事が新聞を飾り始める。


2/25記 甘味の条件

ブラジルにて
昨晩から下準備、午前中いっぱいかけてフェイジョアーダを作る。
久しぶりで少し勘も鈍るが、まあいいセンいった。
家人の喜びもさることながら、当人は付き物のアルコールが楽しみで作ったようなもの。
昼は開封済みのキウイのワインで。
夜は定番・カイピリーニャ(バチーダ)で。
珍品・MST農地改革カシャッサを開ける。
ブラジルの大衆的カイピリーニャでは、砂糖を飽和状態まで投入する。
店では砂糖なしで頼むが、少しは甘みの欲しいカクテルだ。
この甘みが難しい。
日本のような砂糖大根から作った砂糖では、あのトロピカルな味が出ない。
やはり砂糖キビ製の砂糖じゃないと。
しかし砂糖には健康面でうるさい時代となった。
黒砂糖では、色が台無し。
そのため、これまではハチミツでたしなんでいたのだが。
ここでひらめき。
ステビア。
パラグアイ原産、そもそも先住民が甘味料として用いていたキク科の植物。
確か、えらい薬用効果があるとその方面の専門家から聞いていた。
ネットで調べてみると、砂糖の約300倍!の甘みでカロリーが90分の1。
抗酸化作用に発ガン抑制、土壌改良等々、結構尽くめではないか!
中国産アガリクスみたいで、ちょっと怖いほど。
高級スーパーで入手、既にテスト済みだが、もう1度、カイピリーニャに注いでみる。
むむむ。
合わないのだ。
甘みがこれほど複雑とは思わなんだ。
鋭どすぎるというか、砂糖キビ製砂糖のまろやかさと広がりがない。
少なくとも、カイピリーニャには合わない。
薬だと思って飲む。
ブラジルとパラグアイは、意外と合わない。


2/26記 激情公開

ブラジルにて
来たる4月22日(土)、下高井戸シネマで公開される拙作「郷愁は夢のなかで」について同劇場のサイトでも紹介されるようになった。
下高井戸シネマのサイトは、
http://www.ne.jp/asahi/kmr/ski/shimotakaido_cinema.html
このサイトのMORNING SHOWのページに拙作の紹介がある。
今年の同劇場のドキュメンタリーセレクションのテーマは「山形・TOKYO・サンパウロ」とのこと。
他にもブラジルの作品があるのかと思って横並びのなんとか賞受賞等々の作品群をチェックするが、それらしいのは見当たらない。
どうやら山形とTOKYOを向こうに回し、拙作一人でサンパウロを背負うようだ。
見てね。
新作のまとめの都合で、残念ながらカントクの次回訪日はもう少し後になってしまいそう。
公開、先に立たず。


2/27記 文化以前

ブラジルにて
日曜にサバを2尾、購入。
その日のうちに1尾を塩焼きでいただいた。
今日の夕食はどうすっか。
午後から陽が出てきた。
残りのサバを自宅で干物にしようと発案。
日本の母が、よくサバの文化干しというみりん付けをスーパーで買ってきた。
今日はその文化干しにトライ。
しかしなぜあれが文化干しなのか?
この疑問が沸いた時は、パソコンの灯を落としていた。
広辞苑を紐解くと、「文化干し」の語はない。
あれは母だけの用語だったのか?
パソコンをつないだついでに検索すると、これは水産業界用語で「冷風乾燥機を使用した干物」のことだそう。
母の疑惑は解けた。
我が家は夏場の南回帰線直下の「直陽」である。
文化以前の原始生活。
原始、女性は太陽だった、なんちゃって。
お味の方は、悪くなし。
日本のみりん干しは相当、砂糖をぶち込んでいるのを知る。
まさか移民となってサバ文化干し、じゃなかったみりん直陽干しまで作るとはねえ。


2/28記 歌舞音曲

ブラジルにて
5日間のカーニヴァル休暇。
以前も書いたが、サンパウロの市民の過半数はカーニヴァルの騒ぎが嫌いか、無関心。
レンタル屋でDVDやビデオをゴッソリ借りてきて三昧、という向きも少なくない。
なにせメインのテレビ局は夜間、1日10数時間あのドンチャカパレードの生中継が連日続く。
未明に目覚め、少しテレビをつけてみるが、日本の録画モノがだいぶ溜まったいるのを思い出し、深刻なのを数時間見る。
その時期はこちらにいたけど、祖国でもこんな時期があったな。
テレビ・ラジオ・劇場での歌舞音曲の自粛が数日間。
元号の変わる時だから、ええっと…
18年前か。
ま、垂れ流されるメディアに寄らない自分の時間の過ごし方を培っておくことだ。


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岡村淳 :  
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