11月22日(金)の記 存在するという演技 (2024/11/24)
存在するという演技 ブラジルにて
『AINDA ESTOU AQUI』 今年のヴェネチア映画祭などで受賞して、来年の米アカデミー賞にもノミネート。 ただいま封切り中のブラジル映画で、客の入りも快調の由。
タイトルは「私は今もここに」といった意味。 監督、俳優の名前を見れば、まず間違いのない作品といったところ。
その程度の予備知識だけで、午後から見に行く。 1970年、軍政時代のリオの金持ちの話か… 地味と言えば、地味。 が、どんどん引き込まれていく。
ふだんは観客もまれなミニシアターだが、今日は様相が違う。 今日は後から前席に座高のやたらに高い女性が座り、やむをえず最前列に移動。 中盤ぐらいから、場内のすすり泣きが聞こえてくる。
この映画の見どころのひとつはフェルナンダ・トレスとフェルナンダ・モンテネグロという実際の娘と母にして、いずれも名優の出演。
これには息を呑んだ。 すごい。
邦画『砂の器』の加藤嘉を想い出した。 ちょうどこの映画の公開50周年だ。
なんというか、ブラジルの良心を見たといった想い。 身辺のことで、この国の庶民にやや絶望を感じていただけに。
自分は、自分の信念のもとに、するべきことをしよう、と思いをあらたにする。
母娘の、娘とのニアミスも想い出す。
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