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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2024年の日記  (最終更新日 : 2025/01/03)
11月27日(水)の記 玉井乾介さんのこと

11月27日(水)の記 玉井乾介さんのこと (2024/11/28) 玉井乾介さんのこと
ブラジルにて


日本時間11月3日にYouTubeで公開を始めた『千住博 南米流転』シリーズ。
https://www.youtube.com/watch?v=JZ3Q4xvkSy8

第二巻までアップして、ただいま第三巻の編集作業中。
その合間に、身辺に散らばる冊子資料書籍類に目を通して、少しは整理のまねごとをしている、つもり。

こんなのが出てきた。
国立ハンセン病資料館の企画展「多磨全生園絵画の100年」の目録。
今年8月の訪日際、離日間際に思い切って行ってきた。
これは僕には必見だった。

アートとはなにか。
毎日のインスタを始め、僕は常に生活のなかで問い続けている。

この目録で特に目を引く記載に出会う。
西暦1960年、多磨全生園で玉井乾介氏という人の尽力により「国立近代美術館所蔵の名作絵画展」が開催されたという。
この玉井氏は岩波書店の編集部に所属されていた由。
担当した本が縁で、全生園に関わるようになった。
その後、一年半にわたって全生園にあった学校の国語教師をボランティアで務めたという。

これはすごいことではないか。
玉井氏のことを検索して、たまげた。
さらにその後、玉井氏はブラジルに渡っていた。
国際交流基金による派遣のようで、サンパウロ大学で日本文化を教えたらしい。
およそ50年前のことだ。

それ以上のヒットは見当たらず、いまとなってはこちらで当時を知る人も出会うのも容易ではなさそうだ。

玉井さんのブラジルでの関心に、当然ハンセン病のことがあっただろう。
僕はブラジルの日本人移民から、日本でも聞いたことのない露骨なハンセン病患者への差別発言を聞いている。
ブラジルの日系社会というのは、皇室崇拝とともにこうした差別を「温存」しているところでもある。

いま、このことを知ることの意味を考える。

ちなみに玉井さんは岩波の月刊誌『世界』の編集長を務めていたようだ。
恥ずかしながらそんなことも知らずに、僕は前世紀、そして今年も『世界』に寄稿していた。





  


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