12月7日(土)の記 都市の深水 (2024/12/08)
都市の深水 ブラジルにて
さあしばし、イレギュラーな日々が続く。
今日は午後からお泊り当番。 その前に、サンパウロ市内のミネラルウオーターの源泉に水を汲みにいく。
土曜の午後、意外とさほど混んでいない。 給水上で持参した5リットルの容器に、順に注いでいく。
5メートル以上、離れたところで給水しているおじさんがなにか言っている。 どうやら、僕に話しかけているようだ。 「こんなに次々に高層ビルが建てられているのに、地下からこんなに水が湧いているのは不思議だと思わないかね?」
たしかに。 このあたりはわが居住区あたりに比べると建物はやや少ないが、開発のすすむ都市部であることは変わりない。 ここのミネラルウオーターの存在も、自分には当たり前になって久しいが、このおじさんのような疑問は抱いて当然だろう。 日本のリニアモーターカー計画の暴挙を想い出す。
どんな言葉を返そうかと考えて、 「ミステリーですね」 ぐらいにしておく。
おじさんは引き続き、どこそこにも高層ビルが建てられた、どこそこは1000室以上もあるというような話を続ける。
おじさんとは物理的にも距離があるし、僕はこのあたりにそれほど詳しくないし、手も休めてはいられない。 いちいち聞き返す話でもないので、テキトーに相槌をうつぐらいでカンベンしてもらう。
さてここの給水場の外にはベランダ風のカフェがある。 値段は大衆価格。 ここの女性スタッフ相手に、なにやら陰謀論みたいのを一方的に説き続けるおじさんが今日もいた。
おじさんがいなくなってから、 「キミをくどいていたの?」 と聞いてみる。 「いえ、神や悪魔の話をしていたんですよ」 今日、小耳にはさんだ範囲では通貨というものの虚構性を語っていたようだが。
容貌はスティーブン・スピルバーグとかジョージ・ルーカスとか、あんな感じ。 この近くに住んでいるという。
帰路、一方通行のため回り道をしていると、なんとこのおじさんが、おそらく自分の家の戸を開けるところに遭遇。 昔ながらの一軒屋だ。 なにを生業としているのだろう?
ちなみにこの源泉ではPH9.1 という驚異的なクオリティのミネラルウオーターもある。 ウエブサイトでわかる限りでは。この水は地下500メートル以上のところのものの由。 給水場には図説のパネルもあったので、今度はよくみておこう。
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