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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2025年の日記  (最終更新日 : 2026/01/02)
2月の日記 総集編 霊的パンク

2月の日記 総集編 霊的パンク (2025/02/12) 2月1日(土)の記 土曜三昧
日本にて


アポを取って会っておきたい友人知人は少なくない。
しかし身心、そして時間的限界を覚えて。
「今回は」控えておく。

来週の今ごろは、もうサンパウロ、のはず。
だがまだ明日から茨城神奈川東京都下と、3連戦のロード上映が続く。
とにかく身心を休めナイト。

午後から…
まずは学芸大学の流浪堂さんへ。
ご挨拶、そして掘り出し物の購入。
店内の特別展も強烈。

次いで新宿で買い物。
それから、江東区大島へ!
昨年、水俣で出会った写真家の森田具海さんの写真展が昨日から開催と知って。
https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/71396/
今回は、水俣の写真に加えて彼が新たに挑んだ震災後の能登の写真も展示されているという。
森田さんが、どんな能登を撮ったか見たかった。

ちょうど客足の途切れたところで、森田さんをひとり占めで解説いただく。
僕の今回の水俣での諸々についても直接、話すことができた。

さて今日中にもう一軒、買い出しに寄りたいところがあったが…
そこは土曜は18時までで、間に合わず。

JR駅近くのネパール料理屋に入ってみるが、残念ながらあまりおいしいという感はなく。
今日も盛りだくさんにしてしまい、充実感もあるが疲労もあり。
友人知人とアポなど入れなくて、よかった。


2月2日(日)の記 水戸ゆかば
日本にて


身心の疲労とともに、水戸に向かう。
そのまま翌日は神奈川の鶴巻温泉にポータブルの機材持参で向かうことになり、そこそこの旅装となる。

水戸の定宿にチェックイン、夕方の上映のお迎えをいただくまでディスカンサ(休息)させてもらう。

ナント今回で40回を迎えるという水戸にのまえ岡村上映会。
今回は初めてのライブ上映となる『復生に生きる人びと どうして僕はこんなところに』のお披露目。

これまた不思議なことがいくつか。

作品中のお恥ずかしい間違いのご指摘をいただいた。

ブラジルに戻ったらさっそく修正します。


2月3日(月)の記 1/2 の八州回り
日本にて


朝食で納豆食べ放題の水戸の宿を発って。

電車を乗り継ぎ、茨城千葉東京神奈川。

鶴巻温泉駅到着。
「学芸大学」が駅名というよりズバリ大学のことだと思う人が多いように…
「鶴巻温泉」で上映があるというと、ズバリ温泉で上映するのかと思われて「いいですねえ…」とうらやましがられて。

鶴巻温泉駅近くに日帰りの大衆温泉はあるのだが、ナント月曜定休。
おそらくこれが今回訪日中の最後の温泉、いやさ入湯になるだろう。
老舗の温泉旅館の2時間利用をフンパツ。
貸し切り状態。

さあ上映だ。
今日の上映を主催してくれた島田さんとは、今日が初対面。
以前からの知り合いのように親しくアットホームにトークと上映、質疑応答、懇親をさせていただいた。

都心に出なくても、地元秦野でこうしたイベントを開いていただけるのがありがたい、という声があったが。
都区内の宿への帰路、それを体感。
もう少し懇親会で盛り上がっていたら、帰れなかったかも。


2月4日(火)の記 国立ちぬ
日本にて


今日、国立の「キノ・キュッヘ」さんで上映を主催してくださる野々宮さんとは、昨日はじめてお会いした。

国立に立ち寄るのは、どれぐらいぶりだろう。
駅前からさっぱりしていて、グラフィティやステッカーも見当たらない。
同じ中央線沿線でも、高円寺あたりとは別次元だ。

「キノ・キュッヘ」とはシネマとカフェの意だと教えてもらう。
経営される佐々木さんはメキシコ通で、今日は「なんちゃってフェイジョアーダ」をつくってみたという。
メキシコはブラジル以上の豆文化の国で、ホテルの朝食から豆料理があったのを想い出す。
ブラジルのフェイジョアーダより見た目もよろしい「なんちゃってフェイジョアーダ」を僕もいただく。

映画人の常連さんが尽力してくれて、今日は拙作『リオ フクシマ』をきちんとアスペクト比4:3、そして申し分ない音響設備でご鑑賞いただけた。

思わぬかたちで『リオ フクシマ』シリーズの封印が解かれ、感無量。
主人公の坂田マサ子さんの現在の活躍ぶりが頼もしい限り。

今回は再会かなわなかったが、いずれまた、タバコは抜きで。


2月5日(水)の記 いざ出ニッポン
日本にて


離日前日となった。
今回は2件、計6日にわたる冬の屋外撮影もあって。
イベントは計8件。
身心へろへろ。

まずはスーツケースの荷造り。
例によって、行きはよいよい、帰りが…

今回は、会いましょうと言っていた友人知人が、発熱や咳き込み等で見合わせたいというのが複数あり。
イベントの予約をされて直前に具合が悪くなり、キャンセルされた方も少なくなかった。

そんな風邪系大流行のなか、本人は長距離バス乗り間違い等々はあったものの…、
過労以外は免れたというのは、ただありがたい。

夕方、ふたたび流浪堂さんにうかがう。
ついつい買ってしまう。

最後の晩さんは…
近くの麻婆豆腐をウリにする中華料理屋に入ってみる。
麻婆豆腐丼とラーメンのセットを頼んでみる。
…どっちもイマイチでした。


2月6日(木)の記 熊本日日新聞の誤報と訂正記事
日本→大韓民国→


本日2月6日付の熊本日日新聞に小さな訂正記事が掲載された。

担当記者より記事の転載はお断りするとクギをさされているので、訂正記事が掲載されたことの報告にとどめる。

問題の記事は、熊本日日新聞の今年1月31日付の署名記事。
いろいろな問題があるのだが、ここでは以下の問題に絞ることにしよう。

記事の見出しは「ブラジルの水俣病 被害や背景は」とあり、「ブラジルのアマゾン川流域で発生した水俣病を1989年から取材する記録映像作家・岡村淳さん(後略)」という文章で本文が始まる。
1月26日に水俣市内の施設「きぼう・水俣・未来」で開かれた岡村の「アマゾン水銀汚染」シリーズ3部作の上映とトーク、質疑応答を取材したものだが、そもそも上映した施設の名前にも主催者にも、イベントの様子にも言及されていない。

この三部作は岡村が1992年、1993年、1994年にそれぞれ取材して発表したもので、現地で水銀汚染の住民調査に奔走していたフェルナンド・ブランシェス医師の活動に同行して紹介したもの。
この作品中でブランシェス医師も岡村も「アマゾンで水俣病が発生した」などとは言っておらず、今回のイベントでも「水俣病」の言葉も用いていない。
ブランシェス先生は2002年に他界しているだけに、 僕には水俣を抱える熊本の公器である熊本日日新聞の、すでに公にされてしまった誤報を訂正する責任がある。

拙作のなかでブランシェス先生も僕も力説しているように、アマゾンの水銀汚染は、
・水銀ガスの急性中毒
・無機水銀による慢性中毒
・有機化した水銀による慢性中毒
が複合した問題を抱えている。
それを有機水銀中毒であり、センセーショナルな響きを持つ「水俣病」だけに特化して報道することにそもそもの疑問がある。
いっぽうもともとの水俣の出身の人たちから「水俣病」を「メチル水銀中毒」と言い換えるべきだと声が上がっている今日の状況で、その地元水俣の記者が事態への基本的な認識を書いたうえで「ブラジルの水俣病」と見出しから本文、写真キャプションにまで掲げるのは深刻な問題だと僕は思う。
事前に草稿のチェックなどを僕がしていれば防げていた問題だが、担当記者はイベントの後日に僕の生年月日などは電話で確認をしてきたが、記事そのものの確認をさせることはなかった。

熊本日日新聞社が簡素極まる訂正記事のみで報道機関としての問題の掘り下げを行なわず、そもそもブラジルの新聞にもあるオンブズマン制度が熊本日日新聞には存在しないらしいことも遺憾。

なんのための、誰のための報道機関か?


2月7日(金)の記 奴隷船の旅を想う
→エチオピア→ブラジル


エチオピア航空はもともとたいしたサービスが望めなかった。
が、機材のいたみ、さらなるサービスの低下に驚いた。

今回、行きと帰りで乗り換えを入れて計4回のフライトをしたのだが…
うち3回はテレビモニターが壊れていた。
読書灯も非常ボタンも機能せず。
うち1回は隣席が空いていたので、隣に移動。

さて最後のアジスアベバからサンパウロまで約13時間のフライトも故障席。
USB接続ジャックも壊れている。

何度となくクレームをして、客室乗務員チーフというのと話す。
エコノミーはほぼ満席、僕はパンデミックで期限切れとなったが、エチオピア航空のゴールドカードも所持している。
ビジネスクラスの空席への格上げを狙ったが、あまかった。

「機内モニターが壊れているなら、スマホでも見ていればいいじゃないですか」
「まだ10時間以上もフライトがあるのに、とてもバッテリーが持ちませんよ』
「USBを使えばいいじゃないですか」
「USBジャックも壊れているし、読書灯もつかないんですよ」
「隣の席のUSBジャックからつなげばいいでしょ?」
「隣の席のおじさんがしっかりUSBジャックを使ってますよ」
「もちろんビジネスクラスへの変更などはできませんよ」
こんな調子である。

エコノミー唯一の空席は、真ん中の席。
客室乗務員同行でそこの席に移動することにするが、通路側の中国人が僕を通させようとしない。
しかもこの男、スマホの音声をイヤフォン無使用で垂れ流し続けているのだ。
反対側はおそらくアルゼンチン人の女、スペイン語で簡単に「失礼します」等の言葉がけをしても無視されるばかり。

トイレはこの女が立った際に奥の空きトイレを見つけてさっと済ませるが。

かつてのアフリカからの奴隷船の旅を想うのには、いい機会だったかもしれない。


2月8日(土)の記 まずはフェイジョアーダ
ブラジルにて


いやはや疲れました。
日本での遠征、上映プラス撮影2件。
さらに過酷なエチオピア航空のフライト。

わが家にぶじ戻ったありがたさ。
まだしばらくノートパソコンをつなぐ気力はわかず。

さて、今日は土曜日。
家族三人で近くの大衆食堂にフェイジョアーダを食べに行く。
本場ブラジルのフェイジョアーダは、格別。

折しもテレビのニュースで、ピニェイロス地区でアフリカマイマイが異常繁殖とのこと。
いまや雨期でサンパウロの豪雨と洪水の報には日本でも接していたが。

わが家の徒歩圏でもアフリカマイマイに出会うことになるかどうか。

はるか、1980年代。
シンガポールの日本人墓地。
客死した二葉亭四迷の墓石にへばりつくアフリカマイマイ、なんてのを撮影したっけ。
このくだりは没になったけれども。


2月9日(日)の記 日本住血吸虫症
ブラジルにて


昨年、目黒寄生虫館のミュージアムショップで購入。
小林照幸さん著『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』(新潮文庫)をむさぼり読む。

恥ずかしながら、きちんと知らないでいたことばかり。
「日本住血吸虫症」の文字ヅラを知っていた程度。
なるほど、ヒトの血液中に潜む寄生虫だから「住血」か。

中間宿主のミヤイリガイのミヤイリは、発見者の名前だったのか。

第二次大戦後に米軍がこの風土病の撲滅のために日本で尽力して、大感染地の都市・甲府で鉄道車両を活用した無料の診療所を開いていたというのも意外だった。
米軍は広島では原爆症のデータだけを集めて治療は行わなかったことが知られているが、すべてこの調子かと思っていた。

この病名に「日本」があるため、中国やフィリピンなど日本以外の大感染国で、病気の責任が日本にあるという誤解も生じたという。
「水俣病」という名称を考えるうえでも重要だ。

いいルポルタージュを読ませてもらった。
明日、会う日本人のアミーガ(アミーゴの女性形)は医療関係者だ。
彼女の出身地はこの病気が確認されたところのひとつでもある。
話題にしてみよう。


2月10日(月)の記 繁蚊街の日系ホテル
ブラジルにて


アマゾン地方に赴任している日本人のアミーガが、今日の午前中までサンパウロにいるという。
滞在先の東洋人街の「日系の」ホテルで待ち合わせ。

このホテルにも最近カフェができたが、朝が遅い。
アミーガは体調がよろしくないようで、ホテルのロビーで談笑することに。

お。
暗い照明のなか、小さな飛行昆虫が。
まもなく、腕にかゆみ。
蚊だな。

彼女とその同僚によると、このホテルは蚊が多い由。
…わが家は同じサンパウロ市だが、何か月も蚊に刺された覚えはない。
ここ東洋人街は緑地が皆無といってよく、これは下水などからやってくるチカイエカの類だろう。

サンパウロ州ではデング熱の被害が急増して、死者も増えているという。
さて、日本でのおなじみのチカイエカはデング熱等を媒介するのだろうか?

検索。
「デング熱や日本脳炎などの蚊媒介感染症を媒介する可能性があります。」

チカイエカに該当するものがブラジルにいるのか調べてみよう。
ポ語のウイキにあり。
Culex pipens molestus。
学名できたぞ。
O Culex pipens molestus, mais conhecido como o mosquito do metrô de Londres...

「ロンドンの地下鉄の蚊」と呼ばれているそうで、すでに五大陸に分布している由。
調べれば調べるほど面白いが、とりあえずこの辺で。

ダウンタウンに出るときも、いやさその時にこそ防虫対策をせねば。


2月11日(火)の記 霊的パンク
ブラジルにて


今回は、駐車場をまわっていた共同住宅の管理スタッフが教えてくれた。
先の訪日直前に続き、訪日直後にもとは。
先回と同じタイヤかとがっくり来ていたが、先回は前輪、今回は後輪だった。
悪質な変質者・愉快犯の仕業か?

そもそも、悪意による故意でないとしたら。
道路に落ちているクギが、どのような理屈でかくも深くタイヤに突き刺さるのだろう?

これもネットで調べていて、あきれる。
最初にアクセスしたウエブサイトでは、道路に横たわるクギを前輪が起こして、それが後輪に突き刺さる、よって釘によるタイヤのパンクは後輪がほとんどの由。
もうひとつのサイトでは、釘によるタイヤのパンクは前輪が大半、とな。
同じ問題について言及しているとは思えない・・・

こんなページもありました。
「タイヤに釘が刺さる際のスピリチュアルな意味とその背景を考察」
https://smart-info.blog/tire/spiritual-nail-stuck-in-tire/

いずれにしても、今回は先月よりは軽傷ですみました。
こればかりは、注意しようもないし。
そもそも数十年ぶりの出来事。


2月12日(水)の記 コンクラーヴェ
ブラジルにて


続く時は続くもので。
一昨日とは別の日本から来た友人とカフェ飲み話。

その足で、映画を一本見ることに。
こんな映画が封切られているとは。
『CONCLAVE』、あらたにローマ教皇を選出する選挙をテーマとした映画だ。

ヴァチカンが舞台だが、台詞はほぼ英語という世界。
こまかい理解は追い着かないが、最後のどんでん返しにはたまげた。

キリスト教徒の人口は1パーセント以下、カトリックに対する基本的な理解も関心も欠く祖国日本での公開はむずかしいだろうなと思いきや。

帰宅後に検索すると、この3月から『教皇選挙』の邦題で公開されるようだ。
僕が知らないだけで、日本での有名な俳優が出ているのだろうか?
ああ、僕の知っているのではイザベル・アジャーニが登場。

この映画は日本のカトリックメディアやカトリック信徒にスルーされるか、あるいは。

米国のトランプの「キリスト教」との比較考察もおもしろいかも。


2月13日(木)の記 裏庭探し
ブラジルにて


在サンパウロで僕より10歳以上、年上の邦人女性と時折り打ち合わせなどでお会いしている。
ここのところはお互いに都合のいい、メトロの駅近くのカフェを利用してきた。
だが、もはや顔見知りといっていいそこの日系の経営者がどうにも感じが悪い。
タダでカフェを恵んでもらっているわけではなく、サンパウロには探せばいくらでもオプションがある、はず。

という訳で、今日は所用のついでに新たな候補の店のロケハンをすることにした。
ずばり「裏庭のあるカフェ」というお店。
かなりの繁華街だが、どんな店だろう。

場所がら、気の利いた店なら常に混み合っているかもしれず。
ここのところ連日だが、今日も午後は雨模様。

おう、ここか。
ありゃ、入ってみるとまるでがらんとしている。
「ぜひ裏庭へ」と書かれているが、あいにくの天気。
だだっ広い屋内に席をとる。
裏庭のある広い邸宅をカフェとして、アンチーク類を配している。

昼どきが過ぎて、雨がちだったので客足が途絶えていたようだ。
三々五々と、年配の女性たちが複数でやってくる。
客の男子は、ワタクチだけか。

悪くはないな。
雨の裏庭も、ナメクジ探しにはよろしいかも。

恐れていた蚊の襲撃もなかった。
が、ここにご婦人を連れするときは念のため虫よけを持参しよう。


2月14日(金)の記 コリアン街の豪雨
ブラジルにて


今日はサンパウロのコリアンタウンに買い出しに。
先回は年末年始休みだったAIGOという書店にも行ってみる。

意欲的な書店だ。
見かけよりかなり高額のミニ本がある。
近日中に会う友人のために、思い切ってオトナ買い。

わが家から軽くはない本を持参した。
お気に入りのコリアンベーカリー付属カフェで、線引き用エンピツも出して少し読み進める。
うわ、外が暗くなり、すごい雨となった。

小やみの時に店を出るが、近くの交差点を渡れないほどの浸水だ。
靴を濡らすと、けっこう面倒。

…何屋ともわからない、近くのがらんとした飲食店に思い切って入る。
経営はコリアン系か。
メニューを見てもよくわからなかったが…
フルーツ割りのココナッツウオーターの専門店だった。

ここでも本の続きを読んで、水が引くのを待つ。


2月15日(土)の記 土鍋でドナドナ
ブラジルにて


朝。
流しに置いてあった土鍋を洗おうとすると、ぱかっと割れた。
けっこうこなごなに。
あちゃー。

もうどれぐらい使っていただろうか。
10年どころか。
20年ぐらいいくかも。

さすがにもう修復は無理だろう。

家族はこれまたそうとう使っている電気釜をもちいているが、僕は土鍋党。
縄文土器とはいかないまでも。
実際に土鍋で炊いた方が、古式電気釜のよりおいしいと思う。

さっそく徒歩圏で土鍋のありそうな店まで行ってみるが…
鉄鍋しかなかった。
それにしても、外は猛暑。

午後、もう一軒の心当たりの店へ。
あった。
そう安くはないが…
思い切る。

いちばん小さなサイズのが欲しかったが、ない。
そもそも土鍋をもっとも見かけるのが、他州と結ぶ街道筋の売店。
いつまたそんなところまで出れるか、予定もなし。

使用にあたっては下準備がいる。
油を全面に塗って20分、熱して自然に冷ます。
それは明日にでもするか。


2月16日(日)の記 紺碧の法悦
ブラジルにて


わが家の徒歩圏、大サンパウロの住宅街にカトリックの女子修道会がある。
ここは一般の参加可能なミサがあり、ありがたい。

今日はスカプラリオ、日本では「身代わりの御守り」とも呼ばれているらしいものを司祭が聖別して、初めての人には首にかけてくれる儀式があり。

今日の外出は、このミサと、帰りに路上市を物色する程度。

日毎のアート紹介のインスタをどうするか…
これにしてみるかな。

https://www.instagram.com/p/DGX5rjdOe9z/


2月17日(月)の記 学園都市のいっぷく
ブラジルにて


さあ、今日からサンパウロのお泊り当番再開だ。
道はさほど渋滞していなくて、ありがたい。

サンパウロ大学学園都市内をショートカット。
クルマをとめてささやかな散策、グラフィティ探し、そしてカフェ。

猛暑到来、あつい。
今日はあったかいカフェはやめて…
缶入りのマンゴージュースをいただく。

いまだ授業はお休み中、だだっぴろいキャンパスは、がらがら。

グラフィティ探しであまりひと気のない校舎の至近を歩いていて…、
警備員に話しかけられてビビる。
聞き返すと、
「あなたのすぐ手前をトカゲが走っていきましたよ」
と教えてくれたのだった。
トカゲは、見逃した。


2月18日(火)の記 そうだ、炭酸水を飲もう
ブラジルにて


泊り先で、朝の交通渋滞が少し落ち着くのを待ってから。
帰路、ミネラルウオーターの源泉に立ち寄って給水。

通常なら、付属のカフェテラスでカフェとスナック類をいただくのだが。
今日は一日断食をすることにした。

断食の際のコーヒー摂取は、賛否両論あるようだ。
やめておいた方が無難、と思う。

とはいえ、水分補給といっぷくがしたい。
炭酸水の小瓶を頼むことにした。

ここの水に人工的に炭酸を加えたもの。
炭酸水は人体にどうなのか、後で調べてみよう。

…飲み過ぎなければ、よろしいようだ。
もちろん砂糖も味もない炭酸水です。


2月19日(水)の記 アートのセントロ
ブラジルにて


所用でセントロ(センター:中心街)に出る。
ついでに…
明日はブラジル北部からサンパウロ経由で訪日する友人と、サンパウロ市内で少し会える見通しとなった。
彼との話題として、見ておきたいアマゾン関連の展示がセントロで開催中。
行っておく。

お目当ての展示は、たどり着くまでがややこしいわりにイマイチ、イマニだったが…
同じビルで開催されていたNelson Leirner展が実に面白かった。
日本語で表記すると、ネルソン・レイルナーというところか。
ブラジルの現代のアーチストだが、すでに故人。

おもしろすぎる。
「われわれの」既成の概念を打ち崩し、再構築してアートを提供してくれる。
アートの錬金術師、という言葉が浮かんだ。
こころみに、ニホンゴで検索してみると…
見事に、なにもヒットしない。

この人の作品はサンパウロの別のセンターの展示で見たことがあった。
今度は名前も覚えたぞ。

余裕のある時に検索しよう。
こうした展示が無料なのはありがたい限りだが…
有料でかまわないから紙刷りの目録が欲しい…


2月20日(木)の記 木曜の黙食
ブラジルにて


ブラジルの地方都市で活躍する邦人の友がサンパウロに立ち寄ることになり。
久しぶりに会うことになった。

どこで会うか、いくつかオプションを伝えると…
ずばりストライクを突いてきた。

在外日本公館あたりでは立ち入りに注意勧告してくる地域。
伝統あるカフェに約束より早めに着くが、すでに彼はいた。
話は尽きない。

昼食も誘うが、他の予定が入っている由。
こちらも近くで所用あり。
その前にせっかくだし、なにかひとりで食べるか。

中心街でロケーションは抜群の、さほど値は張らなそうな飯屋が気になっていた。
思い切って入る。
さて、なにを食べるか…
曜日替わりの木曜のパスタ定食とアマゾンの女王クプアスーのジュースをオーダー。

うわ、パスタは失敗。
ベチョンとゆでた麵に、できあいのトマト系ソースがかかっているだけ。
腹の足しにはなるが、味わいの満足感がない。
のこりの人生で、ひとりで外食する機会がどれほどあるか…

その失敗のひとつから学んでモトをとらないと。
木曜の定食のパスタは、やめておいた方がいい店が多い。


2月21日(金)の記 大河の一滴
ブラジルにて


ブラジルに戻って最初の動画編集作業は『復生に生きる人びと』の字幕修正作業。
ついで手掛けたのが、わが大河シリーズ『千住博 南米流転』の続編、第五巻の編集。
『「リスザルくん、こんにちは」』というタイトルでいくつもり。
今日中にはとりあえず目鼻をつけられそうだ。

昨日は在アマゾンの友と旧交を温めたのも奇遇。
いろいろな想いからこのシリーズをまとめて公表することを願い、関係者たちに了解をいただいた次第。

今さらながら、千住画伯の言動、そして写り込む森羅万象がいちいち面白い。

リスザルについて改めて検索してみると、これがまた面白い。
このサルのポルトガル語名が奇妙なのだが、検索を続けてそのナゾも解けた。
(ちょいと取り込んでいて、詳述は省略いたします)

ヘルツォークの『アギーレ』に登場するのもリスザルの群れだったと記憶するが…

さあ、次の作業はあらたに一段とギアをアップして(なつかしい表現…)気合を入れねば。


2月22日(土)の記 好不好?
ブラジルにて


家族と、昼に二ホンめし食べ放題というレストランに行ってみようということになった。
料理のほか、ソフトドリンクも飲み放題の由。
うーん、こっちはアルコールも欲しい…

地下鉄を乗り継いで・・・
ネットでこの店の評判を調べると、極端にわかれている。
さて。

店の名は『HAO SUSHI』。
HAOとは?
…中国語のニイハオのハオとみた。

スタッフは調理場も含めてオリエンタルな人が見当たらず、仕事ぶりはけっこうゆるい。

スシとして出てくるのは…
チリ産養殖サーモンばかり。
あとは、あまり食欲をそそらないマグロの赤身と、サメの生肉。

たとえば、サーモンの薄切りを巻いて中にクリームチーズを詰めて、イチゴの輪切りを載せている、そういう世界。
テマキは、海苔からしていただけない。

祖国の寿司から、数光年へだたった異次元にきてしまった。

近くでグラフィティの収穫はあったけれども。


2月23日(日)の記 停電バーガー
ブラジルにて


日曜日。
夜は独食となった。

昼間は残りものを食べたし…
夕方、散歩に出たついでに外食をしちゃおうか。

日曜日は開いている店が限られているけれど。
しいて言えば、チェーンものではないハンバーガーが食べたい。

先日、ダウンタウンの食堂で値段控えめのハンバーグ定食というのを頼んでみた。
が、メインのハンバーグは市販の冷凍ものの最下層のクオリティのもので、がっくり。
やすかろうわるかろう、であった。

今日はメトロ駅前の、中の中の上ぐらいの飯屋に入る。
サンドイッチ状ではない、さらに具材を並べたハンバーガーをオーダー。
いわばハンバーガーの「ちらし」である。
これの方がサンドイッチ状の「にぎり」より値が張る。

ビールの大びんもオーダー、ちびちびヒャッコイのをいただきながら。ちらしバーガーを待つ。
と、停電!

外はまだ明るく、店内の非常灯がついた。
地区一面のようだ。
どうしたことか、停電は土日に多い。

そこそこの入りの客も店員も、とくに慌てる気配もない。
わがチラシはどうなるかな?

おや、停電にもかかわらず完成。
これはなかなかのヴォリュームだ。
ハンバーガーは手づくりではなく、冷凍モノと見たが先日の定食のよりは厚さもクオリティも数段は上。
それにハムにベーコン、卵にチーズも乗っかっているのでハーンバーガーそのものが隠れてしまうほど。

そうこうしているうちに電気も復帰。

手前のテーブルの女性3人のグループの頼んだ鶏の唐揚げの量に、こっちもびっくり。
これは家族に見せたいな。


2月24日(月)の記 二十四時間の常時
ブラジルにて


自分にとってのちいさな奇跡。
書いておかないと、忘れてしまいそう。

今日は午後からお泊り当番の予定。
わが家では日本で撮影してきたばかりの『里山の冬の華』(仮題)の編集作業に突入。

およそ1年ぶりの新システムでの作業で、あらためて試行錯誤。

と、非常事態で今日の僕の泊りは中止となる。
いやはや。

いずれにしても、買い物等もあって外出。
ミゲール・ステファノ大通りを降りていってみる。

おや、新しい古本屋が。
小さな空間だが、絵画やアンチークも飾られている。

僕の知らないブラジル人アーチストのサイン入りの厚い画集がある。
値段を見ると…
許容範囲の金額よりゼロがひとつ多い。

DVDもある。
もしやと思い…

あった!
邦題『二十四時間の情事』、または『ヒロシマ、モナムール』。
アラン・レネ監督、西暦1959年作品。

かつて同じものを所有していたが、サンパウロのさるお方にお貸しして、他の書籍同様、帰ってこなかった。
その方は鬼籍に入り、遺族に請求もできず。

特に昨年8月の広島でのイベントの前に見直しておきたかった。
先週も、ブラジルでネット売りのセコハンを買っちゃおうかとチェックをしていたのだ。
ダウンタウンのDVD類が豊富な古本屋を探しても見当たらず。

それがこんな徒歩圏の、新発見の店で。
金額はネット買いのお届け料金程度だ。

帰宅後、自分の作業を中断してこれを見ることに。
が、ようやく久しぶりにつないだDVDデッキで本編再生ができない!

…パソコン外付けプレイヤーなら読み込めた。
いやはや。

うーむ。
あらためて、奇作である、という感想。

このDVDにはポルトガル語の副読本がついているのだが、広島と原爆についてはほとんど言及されていない。
ネットの日本語解説・評を拾うが、「わが意を得た」感と遠い。

西暦1958年の広島のドキュメントとして、それだけで見ごたえはある。
原題は『ヒロシマ、わが愛』であり、原爆が語られる。
だが、映し出されるのは日本で作成された劇映画や記録映画の映像と、デモシーンで人々が掲げる広島と長崎の被爆者の写真ばかりだ。

そして被爆都市としての広島はフェードアウトして、フランスの小都市ヌヴェール(!)でのひとりのナチスドイツ兵士の死が、無数の被爆者、被爆死と等価のように語られていく。

ドラマの舞台は不夜城としての大都市ヒロシマとなるが、これは広島でなくても、東京あたりの方がふさわしいかもしれない。
しかも東京は3時間で広島を超える約10万人が殺害された大戦災都市である。

それでも、なぜヒロシマか?

僕がDVDをお貸しした被爆者の方は、その後、この映画については見たとも何ともおっしゃることはなかった。
せめて、見たのか、見たなら感想をうかがっておけばよかった。


2月25日(火)の記 Do the right thing
ブラジルにて


スパイク・リー監督の映画の原題。
邦題は…『ドゥ・ザ・ライト・シング』。
なにか、ばかにされている気分。

この映画をサンパウロ文化センターに見に行く。
西暦1989年製作で、舞台となるのはニューヨーク・ブルックリンの黒人居住地区。
グラフィティを考えるうえでも興味深かったが、冒頭のクレジットのバックとなるシーン以外に特に見当たらず。

このタイトルの意味など、いろいろと考えさせる。
最も印象に残ったのは、イタリア系アメリカ人でピザ屋を営むおやじさん。
猛暑のなか、地域の黒人系住民たちがぐったりしているなか、ひたすらピザ釜に向かって焼き続ける。

久しぶりにピザが食べたくなった。
おいしいのを。

今日は、一日断食。
センターのカフェで、映画鑑賞前に高額の炭酸水を購入して水と炭酸を補給。


2月26日(水)の記 生後すぐ初乳を飲んだ後の子牛の腸内から採集した物質と小麦粉を混合した発酵種
ブラジルにて


今日も自宅での動画編集作業を少し重ねてから、午後は映画を見に行く。
パウリスタ地区にて、『Baby』というブラジル映画。
ブラジル、フランス、オランダの合作で国際的な映画祭でも上映された作品の由。
サンパウロの少年刑務所を出た18歳の青年が、戻る家も家族もなく、ダウンタウンのポルノ映画館で中年男に誘われて、といったストーリー。
こういうのがヨーロッパ受けするのかな。

映画が終わると、すごい雨。
小やみになるのを待ってから…

近くにあるバウドゥッコのカフェで少し活字を読むことにする。
バウドゥッコは「パネトーネ」と呼ばれるイタリア起源のパンケーキのメーカーとして知られる。

「パネトーネ」は日本語だと「パネットーネ」としてウイキにあり。
この名前の種をもちいた発酵パンだ。
この種は「生後すぐ初乳を飲んだ後の子牛の腸内から採集した物質と小麦粉を混合した発酵種」だそうだ。

どうやって生後すぐの子牛の腸内から物質を採集するのかは言及されていない。

こちらではドライフルーツやチョコレートが混ぜてあり、甘いもの、というイメージ。
が、ここでは塩味系もあり。
今日はチーズ類、カラブレーザソーセージ、オレガノなどが入ったものをオーダー。

パネトーネ種によるモチモチ感が塩味系で展開される妙味。


2月27日(木)の記 イトロロ散策
ブラジルにて


明日からこの国はカルナヴァルに突入だ。
今日のうちに外回りの用事をしておこう。

わが家で動画編集を少しすすめてから、炎天のダウンタウンへ。
まずはSNSで流れてきて気になっていたItororó地区に行ってみる。
アクセスには日中でも危機感が伴なうが、お気に入り認定。

リベルダージ大通りのコミック専門店で、気になるコミック本をオトナ買い。

透明カバーの密閉本。
購入後に、いっぷく兼雨宿りのマクドで開封。

むむ、絵があまり好みじゃない・・・

帰宅後、就寝前に開いてみると、これがなかなかに面白い。
なかの絵だけさらっと見ていたら、買わなかったかも。

密閉本でよかった。
Peter Kuper著、英題『Ruins』。


2月28日(金)の記 坂のある街
ブラジルにて


サンパウロのわが集合住宅は高台にあり、浸水冠水はまず考えられない。
西側にイピランガ川が流れるが、相当な下り坂となる。

上りとなれば、マニュアル車ならローギアでひーこら、といったところ。
日本の横浜や長崎の急坂を想い出す。

この方面に徒歩で出るには、ちょいと決意がいる。
しかも今は夏場、酷暑の急坂は過酷である。

この坂の途中に、新しいベーカリーを見つけた。
日系人経営の手づくり系。

ここのフォカッチャを買ってみよう。
その途中にできた小さなカフェ兼食堂も気になる。
帰りに寄ってみるかな。

まだ昼の定食もできるという。
料理はシンプルだが、値段も控えめ。

この坂の上り下りも、いつまでできるかな…






 


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