2月6日(木)の記 熊本日日新聞の誤報と訂正記事 (2025/02/15)
熊本日日新聞の誤報と訂正記事 日本→大韓民国→
本日2月6日付の熊本日日新聞に小さな訂正記事が掲載された。
担当記者より記事の転載はお断りするとクギをさされているので、訂正記事が掲載されたことの報告にとどめる。
問題の記事は、熊本日日新聞の今年1月31日付の署名記事。 いろいろな問題があるのだが、ここでは以下の問題に絞ることにしよう。
記事の見出しは「ブラジルの水俣病 被害や背景は」とあり、「ブラジルのアマゾン川流域で発生した水俣病を1989年から取材する記録映像作家・岡村淳さん(後略)」という文章で本文が始まる。 1月26日に水俣市内の施設「きぼう・水俣・未来」で開かれた岡村の「アマゾン水銀汚染」シリーズ3部作の上映とトーク、質疑応答を取材したものだが、そもそも上映した施設の名前にも主催者にも、イベントの様子にも言及されていない。
この三部作は岡村が1992年、1993年、1994年にそれぞれ取材して発表したもので、現地で水銀汚染の住民調査に奔走していたフェルナンド・ブランシェス医師の活動に同行して紹介したもの。 この作品中でブランシェス医師も岡村も「アマゾンで水俣病が発生した」などとは言っておらず、今回のイベントでも「水俣病」の言葉も用いていない。 ブランシェス先生は2002年に他界しているだけに、 僕には水俣を抱える熊本の公器である熊本日日新聞の、すでに公にされてしまった誤報を訂正する責任がある。
拙作のなかでブランシェス先生も僕も力説しているように、アマゾンの水銀汚染は、 ・水銀ガスの急性中毒 ・無機水銀による慢性中毒 ・有機化した水銀による慢性中毒 が複合した問題を抱えている。 それを有機水銀中毒であり、センセーショナルな響きを持つ「水俣病」だけに特化して報道することにそもそもの疑問がある。 いっぽうもともとの水俣の出身の人たちから「水俣病」を「メチル水銀中毒」と言い換えるべきだと声が上がっている今日の状況で、その地元水俣の記者が事態への基本的な認識を書いたうえで「ブラジルの水俣病」と見出しから本文、写真キャプションにまで掲げるのは深刻な問題だと僕は思う。 事前に草稿のチェックなどを僕がしていれば防げていた問題だが、担当記者はイベントの後日に僕の生年月日などは電話で確認をしてきたが、記事そのものの確認をさせることはなかった。
熊本日日新聞社が簡素極まる訂正記事のみで報道機関としての問題の掘り下げを行なわず、そもそもブラジルの新聞にもあるオンブズマン制度が熊本日日新聞には存在しないらしいことも遺憾。
なんのための、誰のための報道機関か?
|