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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2025年の日記  (最終更新日 : 2025/03/11)
2月24日(月)の記 二十四時間の常時

2月24日(月)の記 二十四時間の常時 (2025/02/26) 二十四時間の常時
ブラジルにて


自分にとってのちいさな奇跡。
書いておかないと、忘れてしまいそう。

今日は午後からお泊り当番の予定。
わが家では日本で撮影してきたばかりの『里山の冬の華』(仮題)の編集作業に突入。

およそ1年ぶりの新システムでの作業で、あらためて試行錯誤。

と、非常事態で今日の僕の泊りは中止となる。
いやはや。

いずれにしても、買い物等もあって外出。
ミゲール・ステファノ大通りを降りていってみる。

おや、新しい古本屋が。
小さな空間だが、絵画やアンチークも飾られている。

僕の知らないブラジル人アーチストのサイン入りの厚い画集がある。
値段を見ると…
許容範囲の金額よりゼロがひとつ多い。

DVDもある。
もしやと思い…

あった!
邦題『二十四時間の情事』、または『ヒロシマ、モナムール』。
アラン・レネ監督、西暦1959年作品。

かつて同じものを所有していたが、サンパウロのさるお方にお貸しして、他の書籍同様、帰ってこなかった。
その方は鬼籍に入り、遺族に請求もできず。

特に昨年8月の広島でのイベントの前に見直しておきたかった。
先週も、ブラジルでネット売りのセコハンを買っちゃおうかとチェックをしていたのだ。
ダウンタウンのDVD類が豊富な古本屋を探しても見当たらず。

それがこんな徒歩圏の、新発見の店で。
金額はネット買いのお届け料金程度だ。

帰宅後、自分の作業を中断してこれを見ることに。
が、ようやく久しぶりにつないだDVDデッキで本編再生ができない!

…パソコン外付けプレイヤーなら読み込めた。
いやはや。

うーむ。
あらためて、奇作である、という感想。

このDVDにはポルトガル語の副読本がついているのだが、広島と原爆についてはほとんど言及されていない。
ネットの日本語解説・評を拾うが、「わが意を得た」感と遠い。

西暦1958年の広島のドキュメントとして、それだけで見ごたえはある。
原題は『ヒロシマ、わが愛』であり、原爆が語られる。
だが、映し出されるのは日本で作成された劇映画や記録映画の映像と、デモシーンで人々が掲げる広島と長崎の被爆者の写真ばかりだ。

そして被爆都市としての広島はフェードアウトして、フランスの小都市ヌヴェール(!)でのひとりのナチスドイツ兵士の死が、無数の被爆者、被爆死と等価のように語られていく。

ドラマの舞台は不夜城としての大都市ヒロシマとなるが、これは広島でなくても、東京あたりの方がふさわしいかもしれない。
しかも東京は3時間で広島を超える約10万人が殺害された大戦災都市である。

それでも、なぜヒロシマか?

僕がDVDをお貸しした被爆者の方は、その後、この映画については見たとも何ともおっしゃることはなかった。
せめて、見たのか、見たなら感想をうかがっておけばよかった。











 


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