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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2025年の日記  (最終更新日 : 2026/01/02)
8月の日記 総集編 樹冠のよろこび

8月の日記 総集編 樹冠のよろこび (2025/08/05) 8月1日(金)の記 パンガコパンガ
ブラジルにて


さんざんさがしても見つからなかった素材群がひょっこり現れて…
今さらながら、思い切ってもうひとつプライヴェートビデオをまとめてみることにする。

さてそんな作業も興がのってくるとズルズルと…
昼は冷蔵庫の残りものとするか。
…、うわ、これはヤバいかも。
少し口にするが、あとは処分する。

外出のついでに外食とするか。
金曜のサカナ定食かな。
カフェ飲みで利用する大衆バールで魚種を確認。
「パンガよ。おいしいわよ」と彼女は言うが。

魚の名は。
東南アジアから持ち込まれた養殖ナマズ・パンガシウスだ。
食いたくない。
他のオプションは、バイオンデドイス。
ブラジル北東部の料理で、店によってヴァリエーションあり。
基本的にコメと豆をあわせたもので、それにチーズもねっちょりと混ぜていることが多い。
これにするが、ここの店は牛リブがごっそり付いてきた。

帰宅後に編集作業の続きを、と考えていたのでビールはやめて生オレンジジュースにする。
それにしてもかなりの量の料理だ。
少し残して持ち帰りもと考えたが、それもナニだ。

うーむ、満腹。

帰宅後は満腹が過ぎて、いっぷく、にふく、さんぷく…


8月2日(土)の記 ブラジルの中韓合作
ブラジルにて


夕方から家族と東洋人街へ。
最近、模様替えしたというレストランに行ってみる。

コリアン焼き肉と中華火鍋が食べ放題という。
値段は張るが、まあたまにだし、見聞を広めるために。

はじめての店のはじめてのシステム、勝手がわからないけど。
ウエイトレスの説明を聞き、焼きながら、煮ながら習得か。

目を引くのは、大人の掌ぐらいの大きさの岩ガキ。
これも食べ放題!で好きなのを選んで店員にわたす。
しばらくすると、殻を開いてライムを添えて持ってきてくれる。

ライムを絞ってかけるだけでじゅうぶんいける。
箸で殻からほぐすので、貝柱の部分は貝殻に付着したまま。
もったいない。
これを火鍋の方でしばらく煮込むと、簡単に取れるようになる。

カキだけで…
五つ、いただいたかな。
ブラジルでカキにあたってひどい目に遭ったというアミーゴを想い出し、ほどほどにしておく。

アルコール類はビール類のほかは韓国製のフルーツソジュのボトル。
が、キムチは白菜一種類だけ。

客はオリエンタル系の若者中心で、聞こえてくる会話は中国語がほとんどかな。
オーナーも中国系と見た。

お勘定の際に聞いてみると、ビンゴ。

まあ、改善してほしい点はいろいろあるけれど、好奇心の胃袋は一杯になりました。


8月3日(日)の記 素晴らしき日曜日
ブラジルにて


朝から家族で車で市内をまわって。

いつもの日曜より交通量が少ない感じ。

帰宅後も日曜の路上市にじゅうぶん間に合う。

その帰路、近所のちょっとお高いベーカリーに寄ってみる。
日曜は前日の売れ残りのお買い得ディスカウント品がお楽しみ。

「アダムの肋骨」という、日本でいえば「おかずパン」の類があった。
薄切りソーセージの束が、たしかに肋骨状にパンにはさんである。

これと生ハムを購入。

午後は自宅でゆっくりまったり過ごして、大クロサワの映画のタイトルである今日の題名に至る。

この映画のポルトガル語のタイトルは…
検索。
ウイキで日本語で出して、他の言語での記載を調べる。
ポルトゲスもあった。
して、君の名は。

Subarashiki nichiyobi。
まんま、である。

たしか今月、祖国で公開されるオスカー受賞の話題のブラジル映画は…
日本ではその映画の英語版のタイトルをそのままカタカナにして上映される。
なしてエイゴのタイトルで?との声しきり。

そんなのよりは、日本語のタイトルそのままで上映するブラジルのあり方の方がよっぽど誠実かも。


8月4日(月)の記 涅槃ロック
ブラジルにて


今日は一日断食。
日毎のストリートアートの採集をどうするか。

わが家周りの近所はほぼ刈りつくした感あり。

ショッピングモールもあるメトロの二駅先まで行ってみる。
グラフィティはむずかしくても、ステッカー類なら…

これがなかなか苦戦。
うーむ、このあたりで妥協するか…

https://www.instagram.com/p/DNEvUEtvfjg/
NIRVA ROCK。
NIRVAとはニルヴァーナ、涅槃のことだ。

「君の母親が君に聞かせたくない音」とある。
QRコードがあるが、正位で撮っていないせいか、この写真から読み取れない。

NIRVA ROCKをググって、聞いてみる。
うーむ、あまり涅槃っぽくはない感じ。

行った覚えはないけれども。


8月5日(火)の記 サンパウロのゼロ地点から「広島にバラを」
ブラジルにて


在サンパウロの邦人の友人からお誘いをいただいて、このイベントを知る。
…、
行かない理由がいくつか浮かぶ。
少し時間が経過して、思わぬ行くべき大義に気付く。

ずばりサンパウロの発祥の地であるカトリック施設の元地下墓地で行われるコンサート「広島にバラを」。
https://www.facebook.com/photo/?fbid=10235406347794390&set=pcb.10235406338314153

これまたずばり広島に原爆が投下されてからちょうど80年目のこちらの時刻に合わせて行なわれる。
尺八とギターの演奏。

名曲『ROSA DE HIROSHIMA』はいわずもがな。
尺八の奏でるヴィラ=ロボス、ギターの奏でる『五木の子守歌』が僕には特に響いた。

さて、世界最大級の日系人人口を誇り、当事者からの「日本スゴイ」が鼻につくわが町サンパウロだが。
この意欲的なイベントに参加した日本人一世はどうやらわが友人と僕だけのようだった。

いのりにフィードバックを求むべからず、か。


8月6日(水)の記 ブラジル一日一生
ブラジルにて


内村鑑三著の『一日一生』を入手したくなった。
次回訪日時の課題にしよう。
…、書いておかないと忘れるな。

今日は近所の買い物のついでに昼は外食とするかな。

あたらしく小さな店ができた。
クルマ一台入るかぐらいのスペースの間口。
カフェにスナック類が主だが、昼食の看板あり。

ひとりのおばちゃんがそれぞれの客と会話をしながら切り盛りしている。

今日も「ストリートアート日照り」。
この店の壁にあったこれを「おさえ」に撮っておく。

https://www.instagram.com/p/DNJiJWKPcDz/
手描きの一品ものや版画なら即オッケーだが、印刷もの。

「A VIDA COMEÇA DEPOIS DO CAFE」。
このVIDAは英語のLIFEに相当する。
これを「日々の生活」とするか「人生」とするかでだいぶ味わいが違ってくる。
ヴィーダはカフェのあとで始まる、ということなのだが。

このポルトガル語のフレーズを検索してみると、かなり巷間に流布している言葉のようだ。
このフレーズを書き込んだグッズがかなりの種類、販売されている。

さすがはコーヒー大国ブラジル。

定食を食べた客にコーヒーをサービスしてくれる店は少なくない。
このフレーズを掲げるこの店では、なし。

昼食の後でコーヒーの出ない店。


8月7日(木)の記 消防カフェで炎上
ブラジルにて


ダウンタウンで邦人の友人と会うことに。
メトロの改札で待ち合わせ。
さてどこに行きますか。

彼は知らないという「消防カフェ」に行ってみましょう。
消防署に隣接した消防づくしのカフェ。
僕は特に消防で「もえ」ないが、それでもおもしろい。

カウンターに消防系らしい雑誌が置いてあり、テイクフリーとのこと。
透明セロファンが被せてあり、ぱらぱらとめくれない。
まさかヘンタイ大国スゴイ日本のように、袋とじ写真でも?
ホースを抱える女性消防隊員の炎上写真とか…

わが家にあるこうした雑なものをじゃんじゃん処分せざるを得ない分際だが…
いただくことにする。
『消防士支援財団マガジン』10周年記念号だ。

これは明けてびっくり。
ジョエルマビル火災事故50周年記念特集記事があった。
1974年2月にサンパウロで発生した大火災事故だ。
当時、日本でも報道されて、日本語のウイキにも掲載されている。

ニューヨークの911事件が生じるまで、世界の高層ビル火災での最悪の死者数を保ち続けていた。
この記事によると死者数は187人。
ちなみに日本語のウイキだと227人、ポルトガル語のウイキは187人。

この火災は劇画『ゴルゴ13』のモデルにされたと記憶する。
ゴルゴがこの火事に巻き込まれた、という話だ。
検索してみると、あった。
1986年6月発表の第233話「ファイアー・アフター」。
劇画発表の時はすでに僕はブラジル取材を重ねていた。
よって、オカムラはこの作品の影響でブラジル移住を決意したという推測は当たらない。

実際の火災の発生した当時の僕は日本の映画少年だった。
『タワーリングインフェルノ』という高層ビル火災のパニック映画があった。
検索してみると、この映画は「ジョエルマ」発生以前に企画されたが公開は事故の年の年末で、日本公開は翌年1975年だった。

いずれにしても実際のビル火災が発生したことが映画の宣伝効果に油を注いだことだろう。
既視感のある偶然。

今年、映画『教皇選挙』公開直後にローマ教皇が帰天したように。


8月8日(金)の記 鳥を見た
ブラジルにて


プライヴェートの小旅行に出る。
ブラジル大西洋海岸山脈の奥深く。

うーむ、ふだんの遠出の旅のルートに比べると、サービスエリアがだいぶ乏しい…

最後の未舗装道路が心配だったが、よく整備された未舗装道路で安心。

こんな奥地の酔狂な宿を求める客は…
バードウオッチャーが多いようだ。

宿のフロントとレストランの前、池のほとりにバナナなどを置いた野鳥の採餌場がある。
まさしく色とりどりの野鳥が集まっていた。

特に目を引く、私の青い鳥。

落ち着いてから、トリあえずスマホどり。

恥ずかしながら、日本のもそうだがこちらの野鳥の同定がほとんどできない。
想えば『すばらしい世界旅行』時代もトリをメインにした番組というのは、すぐに思い浮かばない。

ポルトガル語で「大西洋森林」「鳥」といったキーワードで画像を検索。
ふむふむ。
SAÍRAか。

パンデミックのはじまり頃に、わが家の近くにオープンした絵本カフェがずばりこの名前だった。
いい店だったが、すでに閉店してしまって久しい。

このトリの和名はないようだが、こちらではさまざまな種をこの名で呼ぶようだ。
スズメ目アトリ科のフウキンチョウ族ないしホオジロ族。
僕の目を引いたサイラは「七色のサイラ」と呼ばれる種のようだ。

…写真でも目いっぱいで五色ぐらいしかわからないが、ま、いいか。


8月9日(土)の記 海岸山脈のコムニダージ
ブラジルにて


ブラジル大西洋森林・海岸山脈のどまんなかで。

入域料は宿に払うシステムで、近くの「コムニダージ」を訪問する。
コムニダージはコミュニティのこと。
この一帯には、キロンボ―ラと呼ばれる集落が散在する、はず。
かつてアフリカから拉致されてきた人たちが、各地の農場で奴隷として労働させられていた。
その人たち・子孫たちが農場を脱出して自分たちでつくりあげた共同体のことだ。

昨今、スラムのことをファヴェーラと呼ばずにコムニダージと言い換える動きがある。
同様に、キロンボ―ラという言葉を避けているのかと想像した。

宿で道順を聞いて、自分たちでクルマで訪ねる。
なんとか入口にたどり着く。
日本の山村のような傾斜地だ。

住民らしき人を見かけるが、いわゆる黒人系ではない。
訪ねあてたコムニダージを仕切る女性も、案内してくれる男性も、黒人系には見えない。

この「バクの川」と名づけられたコミュニティを聞く。
案内人の曽祖父が1920年代に北方の町から新天地を求めて山中を踏査してたどり着き、開拓したという。
このあたりにはキロンボ―ラも先住民も不在だったらしい。
なるほど。
日本人移民のあゆみと重ね合わせてみても面白い。

ここで生まれてふだんは町役場の運転手をしているという案内人が、こちらの奇異な質問にもまともに向き合って答えてくれてうれしい。

ブラジルの森羅万象の話をこれだけするのも久しぶりだ。
全体像とピンポイントの相違が多様性の豊かさというもの。

…夜の宿の食事は、アフリカ原産の淡水魚ティラピアを出されてがっくり。
さっそく「泥くさい」の声が。

セルフサービス形式で、昨日も今日の昼も料理はうっかりしていると残りわずかになっていた。
今宵のティラピアのムケッカ(魚介類の鍋料理)は他のブラジル人ヨーロッパ人の客も及び腰のようで、だいぶあまっている。

「敵」を知るためにティラピアを検索していくと、これはこれで面白い。
そもそもざっと地理的に三系統のティラピアがあるようだが、どれも泥くさいのだろうか。
とはいえ、これ以上この魚を口にする気はないのだが。

お、満月か。


8月10日(日)の記 樹冠のよろこび
ブラジルにて


今回の海岸山脈の宿は、敷地の森林内に約600メートルの散策コースがある。
昨朝、歩いてみたがほどよく整備されていてここちよかった。

今日もふたたび。
どこかにタワーがあるというのだがそれがわからず、宿のスタッフに聞いて探してみる。
畑の脇か。

おーこれか。
森のなかで深緑色に塗装してあるのでわかりにくい。
三層になっているヤグラだ。
頂上までのぼってみる。

これはすばらしい。
映画版の『屋根裏の散歩者』の石橋蓮司さんだったかな、彼のセリフを想い出す。

ブラジル大西洋森林のちょうど樹冠の高さだ。
これはバードウオッチャーにはこたえられないだろう。

熱帯雨林なだけに、周囲の樹木の着生植物だけ見ていても面白い。
これを知っていれば、もっとここを通い詰めたのに。

奇しくも、千住博画伯との大アマゾンの熱帯雨林中にある観察タワーでの記録をまとめたばかり。
https://www.youtube.com/watch?v=rtBRMeONSpE

アマゾンの熱帯林の樹高は概してさらに高く、タワーの高さは地表から40メートルだった。
こちらは20メートルぐらいだろうか。

…そろそろチェックアウトの時間が迫っている。
もう一度、下の小径をまわってからふたたびこのタワーにのぼる。
下も面白いが、上はまた格別。

数百万年前の祖先の、樹上生活時代のサウダージがうずくのだろうか。
日本では沖縄戦後も樹上で過ごした日本兵の映画が話題を呼んでいるようだが。

チェックアウトの際にスタッフに確認して驚き。
タワーの高さは12メートルだという。

またのぼれる機会はあるかな。


8月11日(月)の記 なにがあたったのか
ブラジルにて


夜中から、胃のあたりがむかつく。

昨晩、小旅行から戻って。
冷蔵庫の残りものがもったいなくて。
加熱していただいたが、そのせいか?

あるいは旅先の昼食か?

陀羅尼助丸やガジュツの粉を服用。

ほぼ終日、安静に。

それでストリートアートの採集には出る。
うーむ。
これでいくか。
そこそこバックグラウンドを調べて。
https://www.instagram.com/p/DNXRNXONXPG/


8月12日(火)の記 『世界一の母さん』
ブラジルにて


昨日からのむかつき、いくらか楽にはなったが。
昨日は断食もしたが、いまだ食欲はない。
油ものを考えるのもイヤ。

今日は日本から短期間、ブラジルを訪ねている友人と一緒に映画を見る約束をしている。
今日もずっとでれでれしていたいところだが、思い切るか。

友と食事でもと考えていたが、お茶ぐらいでカンベンしてもらおう。

ブラジル映画の研究をする彼の選んだ封切り中のブラジル映画が、あっぱれ。
タイトルは日本語にすると『世界一の母さん』といったところ。

サンパウロで廃品回収をする女性が同棲する男の暴力に耐えかねて、連れ子二人とともに、町での「冒険」生活に踏み切る…

日本で英語タイトルのブラジル映画が封切り中で、話題にもなっているようだ。
あの映画もよかったが、僕にはこっちだな。

友との諸々の対話も刺激的。


8月13日(水)の記 イラセマ
ブラジルにて


昨日の友人との映画鑑賞と対話が刺激になって。
今日も気になるブラジル映画を見に行く。

『Iracema, uma transa amazônica』。
これは日本語の訳しこみがビミョー。

そもそもこの映画は日本で公開されていたんだっけ?
…ほう、邦題は『イラセマ:あるアマゾンでの出会い』か。

ビミョーなところを避けてブナンなところか。
英題をそのままカタカナにするよか格段よろしいけれど。

ジョルジ・ボダンスキー監督とオルランド・セナ監督、ドイツのテレビ局ZDFとの共同製作で西暦1976年の作品。
だが時の軍事政権下ではブラジルでの公開は禁止されて、ようやく6年後に許可されたと今回知った。
今回の上映はドイツとブラジルが共同で4K修復したもの。

15歳の売春を始める少女とトラック運転手のアマゾンを舞台にしたロードムービー。
日本で消費されるアマゾン像の極北が映し出されていく。

日本でそれを生産する側にいた分際として、反省。


8月14日(木)の記 カショーホケンチな街
ブラジルにて


体調もまだ万全とはいかず、どうもうだつがあがらない。

今日はサンパウロの隣の町に行ってみる。
メトロと電車を乗り継いで。
この電車に乗るのは初めてで、わくわく。

おう、駅を降りると、東京のちょっとにぎわう駅前の感じ。
駅前からアーケードの通りがあって。
日本のシャッター街など想像もつかない、ほどよい人の動きがある。

これのことか!
この通りに、ホットドッグのスタンドがまさしく林立している。
ブラジルではホットドッグは英語そのまま表記もあるが、hot dog直訳の「熱い犬」カショーホケンチというのが一般的。
さて今日はホットドッグの由来発掘は割愛。

この町に通じる人が、衛生に問題のある店があるからなどと言っていたが、ここのことだったか。
数百メートルのアーケード街に同じようなホットドッグのスタンドが数十件。
値段もメニューもほぼ同じで、どこか一軒といってもこれは迷う。

初めてきた目にはかなり奇異に見えるが、地元の人にはあたりまえになっているのだろう。
僕にはまず、なぜ?が浮かぶ。

それにしても、ここに観光やグルメで来る人は考えにくい。
地元民相手にこの異常なホットドッグ産業が成立しているのだろう。

外から見ると奇異で、地元では当たり前という事象が僕は大好きである。

山形県村山地方では、四十九日が過ぎてから故人の下顎骨を宗派を問わず山寺に収める、といったような。


8月15日(金)の記 KOYAANISQUATSI
ブラジルにて


隣町で、昨日は古本屋を二軒まわる。

今日の午前中、もう一軒も行ってみる。
三軒それぞれで買うものがあるとは自分でも驚き。

今日は『KOYAANISQUATSI』のDVDを発見、買い。
邦題は『コヤニスカッティ』と覚えていたが、いまは『コヤニスカッツィ』とな。
この奇作の製作は西暦1982年、日本公開は1984年。
当時はやはり『コヤニスカッティ』だったとウイキにあり。

この映画のことは映像記録時代の友人に教えてもらった。
ブラジルで見たか、日本で見たか…

いたく衝撃を受けたのは記憶している。
いま日本語で検索してみると「カルト映画」「非言語映画」といった言葉が。

帰宅後、DVDデッキを接続して、さっそくウン10年ぶりに再鑑賞することにした。

そうそう、このイントロ。
北米先住民の岩絵。
よきかな。

キューブリック『2001』の冒頭のようなシーンがしばらく続き…
あとはひたすら当時のアメリカ合衆国の都市部の情景・ヒトの動きの倍速、たまにスローモーション。

最初に見た頃は、ひたすら「オシャレ」で憧れすら覚えた手法。
正直、いまの僕にはなにか陳腐にすら思える。

僕にこの映画を教えてくれた友人はその後、フリーランスのテレビドキュメンタリーディレクターとして活躍。

僕などは当時も今もまるでエフェクトの類が使えないでいる。
それを駆使する彼を、すげえな、と思ったものだが、

その彼が「エフェクトは、あきる」というようになったのを想い出す。


8月16日(土)の記 見られる側
ブラジルにて


さあ今日のストリートアート採集はどうしよう。

今日の外出は自宅周辺の徒歩程度なので、急な新作でもない限り、厳しいかも。
少し横道に入って…

うーむ、これはどうかな。
https://www.instagram.com/p/DNjSDiXPQHW/

かつての大東亜戦争・勝ち組の「臣道連盟」本部跡近く。
壁と道路の際の雑草と壁のみどりのコントラストが面白いかも。
日が当たっているし。

スマホを構える。
と「Senhor Jun!」と呼ばれる。

おう、チャリでわが友cabeça de xicara が走り去っていった。

僕がインスタグラムであげてきた作品群の作者として、おそらく彼が最多だろう。
彼の作画現場を何度も見かけてきた。

今回はこっちの撮影現場を見られてしまったぞ。


8月17日(日)の記 時には娼婦のように
ブラジルにて


家族と徒歩圏にあるイタリアン飯屋へ。
先回は他の客はいなかったが、今日はそこそこ入っている。

さて…
プタネスカのパスタにしてみるか。
かつて日本語のパスタの本を見ていて「売笑婦風」というのがあるのを知る。
なにごとかと思ったものだ。

なぜそのように呼ばれるのかは、ホットドッグ同様、諸説あるようだ。
しかし売春は人類でいちばん古い職業、などと言われるものの、その名でよばれるパスタが生まれたのは第二次大戦後のようだ。

到着。
うわ。
からい。
トウガラシではなく、塩辛いのだ。

アンチョビー、黒オリーブの身にケッパー。
これらの塩漬けがたっぷり入っている。

僕の料理の味付けはそうとう塩辛いと家人からクレームのあることはしばしば。
その僕に、塩辛すぎるのだ。

プタネスカを食べるのは初めてなので、比較ができないのだが。
…またよそで頼む気にもなれないけれど。

それにしても日本ではこの職業の名を冠した食材・料理は…
思い浮かばない。

さすがにファミレスにはこれを置いていないだろうな。


8月18日(月)の記 試写後のみそラテ
ブラジルにて


26年前に撮影した最新作『消えた炭鉱離職者を追って アマゾン編』のアフターケアはまだ終わっていない。

訪日していたこの作品のキーパーソンの方のご都合に合わせて。
今日、機材素材を持参してサンパウロのお宅にうかがって試写していただくことになった。

お宅のテレビモニターに持参したDVDポータブルデッキを接続して…
リモコンでの入力切替がわからない。

今どきの最新テレビはネトフリやYouTube視聴に即対応できるようになっているのだな。
RCA端子入力があるのはあるのだが、もはや絶滅危惧種だな…

おお、それでもそこにたどりつけば、スパッと4:3スタンダードに切り替わるではないか。

特に修正希望のリクエストもなく、やれやれ。

帰路。
「1908」という、こちらの日系史に通じている向きにはいかにもなネーミングのカフェレストランが意外な場所にあることを知って。
夕食の支度が少しおしてしまうが、思い切って寄ってみよう。

テーブル上のモニターでオーダーするシステム。
「みそラテ」というのがある。
話のタネに…

小さなスプーンに味噌が盛られ、ラテの底にもすでに味噌が入っている由。
いただきます…

たしかに、ほんのり味噌の味。
悪くはない、珍味。

帰宅後、この店をめぐる思わぬことを知らされる。
プロテスタントがらみの因縁。


8月19日(火)の記 プライヴェート奪還
ブラジルにて


「プライベート」というコトバにいまひとつノレないものがあって。

語源を調べてみる。

private「プライベート、私的の」の語源はL.privare「奪う」です。
民主主義のはるか前の時代は、多くの物は王や国の物でした。
国・公の所有しているものを奪って個人の物にしたのが、プライバシーです。
『語源の広場』
https://gogen-wisdom.hatenablog.com/entry/2019/05/03/120000


そうだったのか。
他にも検索してみるが、これよりあっさりした記載ばかり。

語源からするとそれなりにそそられるが、今日的なニュアンスはいささか乖離しているように思える。

類似語に「パーソナル」というのがあり、こっちの方がしっくりくるかな。

ま、そんな塩梅であらためて「パーソナルビデオ」の掌編をまとめることにした。


8月20日(水)の記 逆シャッターとは言いませんか
ブラジルにて


といった塩梅で、プライベート、いやさパーソナルビデオの編集をすすめる。
この掌編は…

冒頭から「逆シャッター」をおかしてしまっていた。
ビデオの録画スイッチをオンにしたつもりでオフにして、オフにしたつもりでオンにする深刻なエラーのこと。

ばたばたあせって、取り乱している時に「撮り乱す」かなり致命的な現象。
情けない。
が、それをどうゴマカして編集するかも職人の技の見せどころ。
というか、それを見せなく気づかれなくすれば成功である。

さてこの「逆シャッター」というコトバ、わが業界ではそこそこ使われていると思って、検索…

ううむ、こちらの意図する用法は見当たらない。

なんと飲食店用語でこれが上位にあがる。
深夜など、シャッターを閉めた状態での営業を言うらしい。

いずれにしても、あらためて「ガラパゴス化」を突き進んだわが分際を思い知る、というか。


8月21日(木)の記 奇作『アナタハン』
ブラジルにて


ジョセフ・フォン・スタンバーグと田名網敬一を掛け合わせた映画特集がサンパウロで行なわれた。
今晩ともう一日だけの上映なので、万難を排して参上。

それにしても、この二人の共通項は…わからない。
スタンバーグはデートリッヒの『嘆きの天使』などの監督。
田名網敬一はアーチストはじめいろいろな肩書を持っている。

キュレーターによる解説文を読んだが、力業でこじつけて押し切った感じ。
スタンバーグの上映作品は彼の遺作で、彼以外のスタッフ、キャストは全員日本人という奇作『アナタハン』。

「アナタハンの女王事件」についてはネットでなにかの拍子に漂着して知り、驚いた覚えがある。
それを描いた映画をブラジルで見ることができるとは。

第二次大戦末期にサイパン島の南の小島に孤立してサバイバルした人たちの実話だ。
製作スタッフには円谷英二に岡崎宏三、そして音楽は伊福部昭!

ちなみに映画『アナタハン』公開は西暦1953年、『ゴジラ』の前年である。

『モスラ』『キングコング対ゴジラ』『マタンゴ』などの「南洋もの」の原点としても面白い。
『アナタハン』の撮影は京都市内のセットで行なわれた由。
僕が極力、使うことを避けている「ジャングル」のイメージの具現化だ。

予備知識も思い入れもないままに見た田名網敬一短編映画集では、日本映像記録センター時代の上司にして先輩の名前がクレジットされていて、これにはたまげました。

さてどうやらこの貴重な上映イベントも、参加者での日本語ネイテイヴはどうやらワタクチだけのようで…


8月22日(金)の記 自宅待機
ブラジルにて


振りかえれば前世紀から、およそ35年来のお付き合い。
ブラジルの遠方に暮らす友人が今日22日にサンパウロに出てくるという。

用向きもあり、こちらから彼に会いにいこうかと思っていた。
が、パーソナルな事情が出てきてかなわないでいた。

ぜひサンパウロで食事かカフェでも、と伝えておいた。
彼は大任を帯びての「来聖」(サンパウロ市に来ること)と知り、もしご都合が付いたら、と付け加えて。

とりあえず今日は一日、他の予定は入れないでおく。
昼過ぎに彼から「サンパウロに着きました。」とのメッセージあり。

まずは「おつかれさまでした」と返す。
さて、サンパウロのどこに着いたのか?
市内から遠方の国際空港と、わが家からも近い国内線の空港がある。
あるいは宿泊先か?
遠方の空港からだと、今日は週末金曜日だし、かなりの渋滞が予想される。

その後、こちらの返信を開封した形跡がないまま、日が暮れていく。

今日は会いましょうという連絡はなさそうかも。
わが家の夕食の支度に着手しながらキッチンドリンクを始める。


8月23日(金)の記 冥界からの原稿催促
ブラジルにて


今日はパーソナル案件で、いろいろあり。

午後、なき義父母の蔵書をチェック。
義父に関する書籍類を開いて。

ずばり義父の寄稿があった。
…これは以前、目を通したことがありそうだ。

義父の没後に僕が管理を引き受けたウエブサイトがある。
http://www.100nen.com.br/ja/tsuzuki/index.cfm?j=1

僕の知る在日本の義父の友人知人らに追悼文などの寄稿をお願いした。
しかし僕の力量不足と不徳のため、いまだいただいたものはない。

いま、目にしている義父の記文は、刊行されたものに義父が修正を書き込んでいる。
遺著となった義父の論考集にはこれは見当たらないので、収めそこねたのだろう。

不肖の娘婿の課題とさせていただきますか。

移民小説家・松井太郎さんのものも手が付けられていないものが少なからずある。

そもそも肝心な自分の創作が滞るばかりなのだが。

そんななか、気分転換にブラジルのコミックをSNSで紹介すると…、
いともお気軽に「翻訳してください」などという心ない書き込みが。
なさけない。

ワタクチはAIや自動翻訳機ではないのだから。


8月24日(日)の記 弱き魚の幸せ
ブラジルにて


昨日はあれこれあって、疲れました。
食べ疲れ飲み疲れもあり。

今日は、家人の友人の家族のイベントがある。
が、僕は失礼させていただく。

日曜の路上市に買い出し。
魚屋で…イワシを買おうかな。

「イワシは(冷凍ではない)新鮮なの?」
売り子のお姉さん、
「あたしより新鮮よ」
近くの客も笑っている。
半キロの二枚に開いてあるのを購入。

ひと通り酢じめにしようと思う。
せっかくだから、少し刺身でいただくか。

薄皮を向いて。
熊本のスーパーで買った刺身醤油で。

うむ、絶品。
口中でとろけるおいしさ。

夜、酢じめにしたばかりのもいただいてみるが、刺身の方に軍配をあげたい。

いやはや、ありがたや。


8月25日(月)の記 月曜の選択
ブラジルにて


今日はとりあえず一日断食のつもりで…

遠方からサンパウロに来ている友人から、今日なら都合がつくとのメッセージが入る。
まずは断食を取りやめ。
昼食をどこかで、ということで。

さて。
月曜は休みのレストランが多い。
かなりのオプションのあるわが家の近くで、それぞれ月曜の昼も開いているか調べておく。

オンライン上の情報で営業している、となっている店で、メトロの駅から近い順でいくと…
・タイ料理屋
・中庭で「洋食」を食べさせる店
・コリアン料理屋
・住宅街のシュラスコ焼肉店
・となり駅近くのミナスジェライス料理店
といったところか。

先方はなんでもいい、というが、あえて選んでもらうとコリアンとのことで。

昼はアルコールは控えるとのことだったが、オーダーするとぐいぐいいかれる。
彼は僕より少し若いが、けっこう早食いの僕より早く完食していた。

頼もしい。

いろいろ共通の知人の消息等を交わし合う。


8月26日(火)の記 Youはいつまで郵便を
ブラジルにて


日本の知人に小さなパンフレットを送りたい。

まずは手ごろな封筒と添え状の絵葉書を物色。
添え状にボールペンで書き込むが、さっそく誤字。
出の悪くなった修正ペンで四苦八苦。

最寄りの郵便局の列につく。
航空普通便で、と頼むと「書留にしませんか?」と訊かれる。
普通郵便の料金が邦貨にして約900円。
書留料金は、さらに約500円のプラスだ。

ブラジルの物価は上がる一方、かたや日本円の価値は下がるばかり。
貧乏根性で、書留料金は節約。

考えてみると、送る相手は僕より年配で、SNSでつながれないでいる。
電話での会話もスムースではない。
そもそも先の訪日の際、関係者たちにあったが、僕以上に先方の近況について詳しい人がいなかった。

書留にしておけばよかった、と後悔。
先方が受け取ったかどうかは確認できるし。


8月27日(水)の記 パチモンどころか
ブラジルにて


昼前に、所用で東洋人街へ。

さて。
ちょいと気分転換がしたい。

このあたりでのオプションは限られる。
…ブナンなマックとするか。

気になるハッピーセットの付録は…
もらって迷惑なマクドナルドおままごとセットはなくなったようだ。

付録の展示スペースには、ペンギンやイヌのミニチュアが飾られている。
最近、日本のマックはポケモンのカードの付録をめぐって新聞ざたの事件を起こしている。

ブラジルのマックの付録は、ポケモンのあらてのミニチュアというわけか?
それなら、日本に持っていけばよろこぶオコチャマもいるかも。

オーダーすると、売り子が「どの『ポケモン』にしますか?」と尋ねてくる。
なにがあるのかと訊くと、いかにもめんどくさそうだ。
「そこのケースにあるでしょう?ドラゴンとか…」
こちらもめんどくさいので、ドラゴンをお願いする。

なんだか、いかにもチャチなつくり。
席について「ドラゴン」をよく見てみる。
おや、カードも付いているぞ。

だが、ポケモンではないではないか!
「Adopt Me!」と英語で書かれている。
ポケモンではなく、パチモンではないか。
売り子にはどうでもよく、その区別もついていないわけだ。

うーむ、ゴミにもならないような…

この「Adapt Me!」とやら、検索してびっくり。
日本語のヒットはごくわずかだが…

かなりの人気ゲームらしく、この8月で累計プレイ数は400億回を記録したという!
もう、まるでついていけない...


8月28日(木)の記 中隅哲郎さんは残った
ブラジルにて


今日は故・中隅哲郎さんのお連れ合いのお宅を訪問する。

中隅哲郎さんは「ブラジル学」を提唱されて、現場と文献を広く深く調査したうえで、読み手の知的好奇心をかきたてる著作をいくつも遺されている。

毎年四月のお命日の時期にはお訪ねしていたのだが、今年はお互いいろいろあって、今日になった。

あの大・中隅がいまの僕より若くして亡くなられたのが信じがたい。

いまや知性も理性も欠いて、それを恥じることもなく声高に、刹那的な猟奇心と射幸心をあおるような輩やメディアがもてはやされるようになってしまった。

中隅さんとじかに親しくさせていただくという恵みを受けた分際として、微量ながらもそうした時流に冷や水を注ぎ続けていたい。

そういう自分が久しく中隅さんを読み返していないことを恥じる。


8月29日(金)の記 じんじんさせて
ブラジルにて


明日の法事を前に、パーソナルビデオを新たに一本仕上げ。
YouTubeに限定公開でアップしておく。

やれやれ。

晩酌いやさキッチンドリンク用の酒が…
カシャッサ、赤白ワイン、ビールぐらい「しか」ない。
…うーむ、ウオッカのフルーツ割りが飲みたい。
日本ならサワー系だな。

夕刻、買い出しに。
まずは日系食材店。
…スピリッツ系は韓国ソジュ系のみ。
値段的に、スルー。

ミニスーパー二軒をまわるが、いずれもウオッカは缶入りのカクテルになったものだけ。
至近のなんでも屋さんでは、アブソルートウオッカが置いてあった。
これは論外、値段を聞くだけヤボ。

…近所の大衆系スーパーへ。
ここは品ぞろえに波、ムラがある。
ある時には安値の国産ウオッカがあるのだが…

今日は、ない。
しかたなく、ちょっと値段の張るジンを購入。

ジンのカクテルを帰ってから検索してみよう。


8月30日(土)の記 ブラジルの田舎和食
ブラジルにて


サンパウロ市近郊の仏教寺院での法要に行く。
土曜でもあり、アプリではわが家から車で1時間半と出ていたが…
2時間近くかかる。
高速通りの料金所で10分近く待たされたり。

法要のあと、お寺で仕出しのお斎(とき)。
この町は日系人が多く、地元の日系の仕出し屋の手配で、基本的に和食。

巻きずし、稲荷ずし、煮しめ、ビーフンの炒めもの、春雨の酢のもの、そしてこちらでサウガジンニョと呼ばれるコロッケ風の揚げもの数種。

難を言えば、巻きずしの海苔のクオリティがかなり落ちる。
ヤカンで配られる日本茶がひどい。
これはお茶のクオリティと水のクオリティの問題だろう。

あとはそれなりに面白かった。
ビーフンにはさつま揚げ、ヒジキ、インゲン、錦糸卵など具沢山。
春雨はキュウリとワカメ入りだが、ほとんど春雨。

サウガジンニョは日本にはコロッケの文化があるせいか、ブラジルのそこいらのものより日系人のつくったものが僕にはおいしいこと、しばしば。

この地に入植した日本人移民たちが、故郷の味とこちらで入手できる食材で編み出したものを、次の世代が引き継いだのだろう。

こうした移民国の庶民の日常的な文化を、記録・比較・研究するとそれなりに面白いことだろう。


8月31日(日)の記 なにもおきない
ブラジルにて


あれもこれもめんどくさい、日曜だしゆっくりしていたい…

だけど。

サンパウロ大学での無料映画上映の「NADA ACONTECE(なにもおきない)」という特集上映が気になっている。
「なにもおきない」映画として選ばれた20本のうち、わが祖国からは大OZの『晩春』とずばりその系譜の『PERFECT DAYS』がチョイスされている。

不肖岡村のドキュメンタリー作品群は「なにもおきない」と否定的にばっさり却下されてきたものだ。

「なにもおきない」ようにみえる物語の意味と意義、価値がわかる人に届けばよいのだ、と居直ってきた。

サンパウロ大学のダウンタウンの校舎で今宵、上映されるのは『TEMPORADA』というブラジルの映画。
舞台はミナスジェライス州、監督はミナスの人André Novais Oliveira。
この監督の別の作品も見ていて、その「なにもおきない」ぶりの手ごたえに注目していた。

主人公は中年・アフロ系・相撲取り系の体型の女性。
ミナス州の田舎町で経済的に行き詰まり、大都市近郊の町の保健所のデング熱予防チームのスタッフとして就職する。
その新たな公私の日常が淡々と描かれていく。

僕には決して退屈ではない。

さあ、わが「なにもおきない」世界に立ち向かわなくては。

ちなみにこの特集上映は今日でおしまい、今度の特集は「パラノイア」。
これはパスかな。











 


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